IR(独自企業分析)

「包装フィルム・食品トレーテーマ」高速

みんかぶ編集室
公開)

今回は、「包装フィルム」「食品トレー」「厨房機器」「冷凍冷蔵設備」「専門商社」などの「株テーマ」に関連する、株式会社高速(7504) です。

Key Points

  • 業界の優位性では“食品軽包装”で国内トップシェアを誇る。
  • 中期経営計画第2フェーズにおいて、2025年度までにグループ売上高1,000億円(経常利益40億円)目指す。
  • 株主還元においては、18期連続で配当を実施。(2022年3月期は前期比2円増配の44円、2023年3月期見込では、さらに2円増配の46円を想定)※2022年10月時点

目次

Identity

・企業能力 KFS(Key Factor for Success = 重要成功要因):「マーケットニーズ対応能力」

  1. ビジネス規模:食品軽包装資材卸売の市場規模は1.6兆~2兆円と推定。同社の市場占有率は5%程度で、今後の開拓余地は十分あるものと思慮。
  2. グループ連結子会社:5社、非連結子会社1社。

 高速は1966年の創業以来、 食品軽包装資材の専門商社として着実な成長を継続しています。1,600社以上の仕入れ先と14万点以上の取り扱い点数を誇り、流通のあらゆるシーンで最適なパッケージソリューションを提案しています。

 また、お客さまの多様なニーズに対応するため、グループ内に開発・生産機能を整備し、「無ければ作る」のスローガンのもと、包装資材だけでなく各種販促ツールの制作、包装に関わる機器を販売するなど、幅広く事業展開しています。

 この業界はやや特殊で、 約2,000社の事業者が林立し、そのほとんどが中小事業者です。食品軽包装資材卸売の市場規模は、1.6兆~2兆円と推定されますが、業界唯一の上場企業である同社でも 市場占有率は5%程度にすぎず、今後の開拓余地は十分にあります。  業界一の購買量が実現する「商品調達力」、包装に関する豊富な経験と知見による「営業提案力」、全国に広がるネットワークが実現する「物流力」、グループ企業との連携による「商品開発力」、それらすべてを備えた業界唯一の同社の存在感は「マーケットニーズ対応能力」がポイントです。

Performance:全体業績

経営環境

 2022年3月期の国内経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、大きく停滞する状況が続きました。さらに国際情勢が不安定化する中、原料価格や燃料費高騰を始めとする物価高騰により、今後の国内景気の先行きについては極めて不透明な状況が続いています。

 同社の主要顧客においては、新型コロナウイルス感染症対策の「巣籠り消費」に伴う内食需要の増加により、堅調に推移した業種がある一方、まだ多くの業種においては新型コロナウイルス感染症拡大のマイナスの影響は大きく残り、総じて経営環境は大変厳しいものとなっています。

2022年3月期決算の概要

・P/L:

P/Lでは、売上高は前年同期比6.2%UP、営業利益10.7%UP、親会社株主に帰属する当期純利益10.0%UP!

 2022年3月期の業績は、売上高918億17百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益36億96百万円(同10.7%増)、経常利益38億98百万円(同10.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益26億62百万円(同10.0%増)となりました。

 市場環境は、新型コロナウイルスの影響を受けましたが、テイクアウトおよびデリバリー業態の市場が高い伸長率を記録し、主力マーケットは全体で見ると堅調に推移しています。人口減少が際立つ東北各県でも継続して売上高を伸ばしており、トップ企業のスケールメリットや人財力を活かしながら戦略的な営業活動を行うことで、今後もさらなる成長可能性を秘めています。

 同社グループでは、「包装を通して、すべてのステークホルダーに『高速ファン』を増やし、社会にとって有用な『グッドカンパニー』を目指す」という長期経営ビジョンのもと、「食の流通を支える」、「食の安全安心に貢献する」さらに「買い物の楽しさや食品のおいしさを演出する」という社会的役割を果たしながら、お客様への商品の安定供給、企画の提案や情報提供を継続してきた結果、業界におけるトップ企業のポジションを獲得できています。

・B/S:

B/Sでは、自己資本比率は1.3ポイントUPして61.2%へと推移。また、ROEは対前期比0.3ポイントUP して8.5%へと上昇!

 総資産は、17億61百万円増加し、524億73百万円となりました。これは主に、土地14億14百万円増加、投資有価証券16億66百万円増加、現金及び預金16億65百万円減少による    ものです。また負債は、6百万円減少し、203億35百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金7億31百万円減少、電子記録債務5億90百万円増加によるものです。純資産は、17億68百万円増加し、321億37百万円となりました。これは主に、利益剰余金18億48百万円増加によるものです。

 2022年3月期におけるB/Sでは、総資産および純資産が増加しており、自己資本比率は前年度の59.9%から61.2%と1.3ポイントUPしています。なお財務の健全性を示す指標のひとつであるROEは、0.3ポイントUPして8.5%へと推移しています。

・C/F:

フリーキャッシュフローはマイナスへ、また、現金及び現金同等物期末残高も14.7%DOWN!

 フリーキャッシュフローは、設備投資や有価証券投資を積極的に行った結果、前期の2,199百万円から▲660百万円へとマイナスへ推移しています。また、現金及び現金同等物期末残高も11,365百万円から9,700百万円へと14.7%DOWNしています。

・株主還元:

前期比2円増の44円配当を実施。配当性向は31.9%。

 株主還元においては、18期連続で配当を実施しています。2022年3月期は前期比2円増配の44円を実施。また2023年3月期は、さらに2円増配の46円を想定しています。

Performance:セグメント別業績

 同社は「包装資材等製造販売事業」の単一セグメントです。売上高構成比率における商品区分別では、トレーや弁当容器、フードパックなど主力の食品容器は38.1%と前期と比べて大きな変化はありません。

ESG Elements:環境・社会・ガバナンス

 SDGsの認識浸透とともに、ESG項目は企業の成長可能性をはかる視点のひとつになりつつあります。

Environment(環境):

 同社グループはESG経営の実践と進化に努めています。LED照明の積極導入や生産活動における再生可能エネルギーの活用など多彩な取り組みを推進していますが、現在特に環境配慮型製品の開発と提案に取り組んでいます。2022年3月に発売したバイオマス原料を40%配合した先割れスプーンは、5ヶ月で月間100万本以上売れる大ヒット商品となっています。今後も廃プラスチック問題の解決や温室効果ガス削減に寄与する新商品を市場に投入し、持続可能な社会の構築に貢献していきます。同社グループでは、 Co2を2020年の約18,700tから2025年には約26,800tへと削減目標を掲げています。

Social(社会):

 また社会関連では、従業員の「多様性」の確保と「人財育成」を重視した経営を実践しています。

Governance(ガバナンス):

 同社のガバナンスにおける体制面は、社外取締役比率が33.3%、女性役員比率は16.7%です。

Plan:中期経営計画第2フェーズ(2022年3月期~2026年3月期)

 2022年4月より始動した「中期経営計画第2フェーズ」では、 既存ビジネスのさらなる深耕により、売上高1,000億円、 経常利益40億円を達成する方針です。また、プラスαの取り組みとして、せっかくお客さまの不満やニーズを聞ける立場にいるのだから、「市場に無い物は作る」という形でイノベーションを起こす「新製品の開発」と「全国展開へのスピードアップ」を掲げています。高速グループは食品軽包装資材卸売業界のトップ企業ですが、 関西以西に拠点の空白エリアが多く存在するなどいまだ成長途上にあり、良好な市場環境を追い風に業容の拡大と収益性の向上に取り組むとともに、 成長力の源泉である人財の育成と活用に力を入れていく方針です。

 株主還元については、増配を継続し2026年3月期には22期連続増配を目標としています。さらに、2023年3月期からはカタログギフトやQUOカードを贈呈する新たな株主優待制度をスタート予定です。

中期経営計画第2フェーズ(2022年3月期~2026年3月期)

高速グループが目指す姿:
「包装」を通して、すべてのステークホルダーに「高速ファン」を増やし、社会にとって有用な「グッドカンパニー」を目指す。

目標達成に向けての”3“Actions:

  1. 既存ビジネスの確実な成長:
  2. 新製品開発、新ビジネスへの挑戦
  3. 全国展開へのスピードアップ

Out Look:まとめ

㈱高速の「マーケットニーズ対応能力 (=商品調達力+営業提案力+物流力+商品開発力)」を追求し、成長可能性を高める攻めの考え方は「◎」。

業界一の購買量が実現する 「商品調達力」、 包装に関する豊富な経験と知見による 「営業提案力」、 全国に広がるネットワークが実現する「物流力」、グループ企業との連携による「商品開発力」、それらすべてを備えた業界唯一の存在である株式会社高速。同社の食品向け軽包装資材の専門商社として「マーケットニーズ対応能力」を追求し、成長可能性を高める攻めの考えは「◎」です。

<Youtubeでも解説>
【企業分析】高速(7504)『この会社の○は何?』

★注目の食品トレーテーマ株

ニチモウ<8091>
漁網、漁具、水産物商社。海洋事業と水産加工品が柱。バイオ事業を育成。
エフピコ<7947>
食品トレー・弁当容器最大手。新素材開発など技術力高い。リサイクルに強み。

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