2024年12月期2Q過去最高益!正興電機製作所(6653)

 今回は、2024年12月期2Q過去最高益を達成した株式会社正興電機製作所(6653)を取り上げます。【関連株テーマ:制御システム、受変電設備、電気機器、再生可能エネルギー、太陽光発電関連など】

Key Points:

  • 2024年12月期2Qは二桁の「増収増益」を達成し過去最高を達成。
  • 株主還元においては、前期比2.5円増配し20円配当を実施。2024年12月期の1株当たり配当金は5円増配の40円を予定。
  • プロダクト(モノづくり)に加え、IT(情報技術)、OT(制御技術)の3つの技術を持ち、AI・IoTなどの最新のデジタル技術を組み合わせた事業展開で社会インフラを支える。

目次

Identity

KFS(Key Factor for Success =重要成功要因)

 1921年創業の同社は、「最良の製品・サービスを以て社会に貢献す」を社是として掲げ、堅実な経営、人材育成を基礎として、時代を拓く技術の開発を続けてきました。100年を超える歴史の中で、情報と制御の独創技術をコアに成長し、電力・エネルギー分野、水・道路など幅広い分野で事業展開し、社会インフラを支えています。 

 また国内だけでなく、1989年からは、マレーシア、中国、フィリピンへの海外進出も果たしています。

 同社は、プロダクト(モノづくり)に加え、IT(情報技術)、OT(制御技術)の3つの技術を持つ数少ない企業で、さらにAI・IoTなどの最新のデジタル技術を組み合わせて活用した事業展開が特徴です。カーボンニュートラルなどの社会的課題の解決に取り組み、グループ総合力を発揮することで、スマート社会の実現に貢献しています。

Performance:全体業績

経営環境

 2024年12月期2Q期間における国内経済は、欧米の金融引き締めによる景気減速懸念や、中国の設備投資減少による成長鈍化など、世界的な停滞感の中、緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、欧米、中国の景気動向指数は下振れの可能性があり、依然として先行き不透明な状況にあります。

 こうした中、同社グループは新中期経営計画(SEIKO IC2026)の基本方針である「企業活動・事業活動を通じた社会課題解決により、サステナブルな社会の実現に貢献する」のもと、「デジタル技術を活用した社会課題解決」、「カーボンニュートラルへの取り組み」、「One正興によるグループ総合力の発揮」の3つの重点施策に取り組んでいます。

2024年12月期2Q決算の概要

P/L・・・二桁の「増収増益」。半期決算においては過去最高を達成!

 直近決算の2024年12月期2Qは、堅調な市場環境を背景に、売上高は13.4%増加、営業利益20.2%増、経常利益は36.7%増、最終純利益36.5%増とすべての項目で二桁の「増収増益」で過去最高を達成しています。なお、2024年12月期予想においても過去最高の「増収増益」を想定しています。

B/S・・・自己資本比率は7.3ポイントUPして53.2%へと推移しており、B/Sは改善傾向!

 同じく2023年12月期2Q時点の総資産は、16億7千2百万円減少し270億8千3百万円でした。主に、現金及び預金が547百万円増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が2,895百万円減少したことによります。

 固定資産の残高は、投資有価証券が時価の上昇等により666百万円増加するなどにより、前期末比736百万円増加して11,010百万円となりました。また、流動負債の残高は、2,949百万円減少の9,321百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が1,160百万円、短期借入金が1,822百万円減少したことによるものです。

 また、純資産については、1,193百万円増加の14,406百万円となりました。これは主に、利益剰余金が配当により212百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する中間純利益の計上より844百万円増加したことや、投資有価証券の時価の上昇により、その他有価証券評価差額金が477百万円増加したことによります。

 この結果、自己資本比率は7.3ポイントUPし、53.2%へと一層の改善傾向を示しています。

C/F・・・2024年12月2Qのフリーキャッシュフローは前期末比14.3%UP、また、現金及び現金同等物期末残高も24.4%UP!

 2024年12月期2Qにおけるフリーキャッシュフローは、前期末の24億1千百万円から27億6千5百万円へと推移しています。また、現金及び現金同等物期末残高は前期末比24.4%UPして27億9千6百万円でした。

 営業キャッシュフローは、27億7千万円(前年同期は30億9千1百万円の獲得)となりました。これは、主に売上債権が29億2千8百万円減少したことによる収入です。

 投資キャッシュフローは、5百万円(前年同期は1億6千2百万円の支出)となりました。これは、主に有形固定資産の売却による収入が2億2千万円あった一方で、有形固定資産の取得による支出2億8百万円、無形固定資産の取得による支出1千5百万円によるものです。

株主還元・・・中間配当を2.5円増配して20円配当を実施!

 株主還元においては、中間配当を前期比2.5円増配し20円を実施しました。なお、2024年12月期の期末配当も同様に2.5円増配して20円を想定しており、年間配当は前期の35円から40円へと5円増配の予定です。

Performance:セグメント別業績

 同社のセグメントは、「電力」「環境エネルギー」「情報」「サービス」「その他」の5部門です。

 2024年12月期2Q時点でのセグメント別業績を見ていきましょう。

「電力部門」は、売上高は、総合制御所向け等の制御システムやスマート保安システムが堅調に推移、また配電機器製品が増加しことにより前年同期比7.2%UP、営業利益は、生産効率改善の取り組みにより38.8%UPでした。

「環境エネルギー部門」は、公共分野での工期延期による工事コスト増加と中国市場の落ち込みの影響があり、売上高は3.8%UP、営業利益は36.5%DOWNとなりました。

「情報部門」は、港湾分野でのサイバーポート関連や、ヘルスケア分野の介護認定支援システムなどのサービス事業が堅調に推移し、売上高は17.3%UP、営業利益は21.9%UPでした。

「サービス部門」は、太陽光発電所向けの電気設備など再エネ関連製品が増加、また主要顧客向けの設備更新工事の増加に伴い、売上高は77.7%UP、営業利益は黒字転換となりました。

「その他」は、電子制御機器関連製品の増加や、発電所、変電所向け工事案件が堅調に推移して、売上高は6.0%UP、営業利益は6.2%UPでした。

ESG Elements:環境・社会・ガバナンス

 SDGsの認識浸透とともに、ESG項目は企業の成長可能性をはかる視点のひとつになりつつあります。

 同社では、気候変動を含む環境問題への対応を重要な経営課題の一つとして認識しており、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に努めています。

 福岡県の自社工場をエネルギーと環境を両立させた様々なソリューションの開発拠点と位置付けており、2021年に建設したエンジニアリング棟は、太陽光発電設備を設置するとともに、蓄電システム・EMSと連携し、「創エネ」「蓄エネ」でNet ZEBを達成しています。

Social(社会)

 また、「社員が活き活きと仕事ができる」企業グループを目指して「健康経営」を推進しています。その結果として、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の上位500法人が選定される「ホワイト500」に前年に引き続き認定されています。加えて2024年には、「健康経営銘柄」にも選定されるなど、同社の人的資本経営の成果が着実に表れています。

   

Governance(ガバナンス)

 ガバナンス面では、社外取締役比率は50.0%、女性役員比率は8.3%です。

Plan:中期経営計画(SEIKO IC2026)

 同社では、「サステナビリティ経営」を基本方針に、中期経営計画(SEIKO IC2026)を推進し、3つの重点方針を掲げています。

最終年度である2026年12月期には、「売上高400億円」、「営業利益36億円」、「営業利益率9.0%」の達成を経営目標としています。

Out Look:まとめ

 正興電機製作所は、情報と制御の独創技術で社会インフラを支え、今後も成長していくことが期待されます。 

 さらに、AIやIoTなどの最新のデジタル技術を組み合わせた事業展開を得意としており、グループの総合力を発揮することでスマート社会の実現に貢献するという新たなフェーズに挑んでいます。こうした同社の果敢にビジネス展開する攻めの姿勢は間違いなく「◎」です。

その他注目の「受変電設備」「制御システム」「電力設備投資関連」テーマ株

明電舎(6508)

住友系・老舗重電。電力・エネルギー、水処理制御システム、電鉄用、車電動化に強み。

ダイヘン(6622)

小型変圧器、アーク溶接機で首位。半導体関連機器用も。FAロボット事業も。

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