世界トップ4の電子認証局が挑む「信頼のデジタル社会インフラ」実現!3つの事業で売上1,000億円突破を目指すGMOグローバルサイン・ホールディングス(3788)

独自の観点で注目企業の価値を分析するMINKABUマトリクス企業分析。今回は、世界トップ4社のうち唯一の国産電子認証局としてグローバル展開するGMOグローバルサイン・ホールディングス(3788)を2025年12月期1Qベースで分析します。
Key Points
- 世界トップクラスの電子認証局としての信頼と実績
- 3つの事業が支える安定収益基盤と成長性
- 量子耐性・フェイク対策など次世代セキュリティ市場への先行投資
- 総務省認定のeシール(電子社印)、デジタル庁推奨の電子公印による官民DX推進
目次
インターネットの「信頼の基盤」を支えるGMOグローバルサイン・HDとは?

GMOグローバルサイン・HDは、2003年9月の設立以来、インターネット黎明期から電子認証サービスを手がけてきた企業です。2021年11月に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場し、2023年4月にはプライム市場へ市場変更を果たしました。
同社は、世界トップ4の電子認証局の一角であり、SSL証明書は累計3,800万枚を発行、180カ国以上に展開。日本発で世界に信頼される電子認証局として、グローバル市場でのリーダーポジション確立を目指しています。
GMOインターネットグループ内ではセキュリティ領域を担い、「コトをITで変えていく」というミッションのもと、デジタル社会に不可欠な「信頼できるインフラ」を構築しています。
3つの事業で構築する「信頼のデジタル社会インフラ」
GMOグローバルサイン・HDは、「電子認証・印鑑事業」「クラウドインフラ事業」「DX事業」を通じて、インターネット上のあらゆる情報を「確かなもの」にし、安心・安全なデジタル社会を実現しています。
1. 電子認証・印鑑事業 – デジタル社会の「信頼の証」
中核を成す電子認証・印鑑事業は、同社の収益基盤であり最大の強みです。
SSL/TLSサーバ証明書は累計発行枚数3,800万枚を超え、世界トップクラスの実績を誇ります。「電子印鑑GMOサイン」は電子証明書型(実印相当)とメール認証型(認印相当)を柔軟に使い分けられることで、高いセキュリティと利便性を両立。
2024年12月期は前年比40%超の売上成長を達成し、事業全体で前年同期比11.7%増と好調に推移しています。また、シングルサインオンを実現する「GMOトラスト・ログイン」も同様に40%以上の成長を記録。デジタル庁推奨の電子公印や電子契約が160を超える自治体に導入され、官民双方のDXを力強く推進しています。

2. クラウドインフラ事業 – 20年以上の実績が支える基盤サービス
クラウドインフラ事業は、同社の安定収益を支える基盤事業です。ホスティングサービス、ドメイン取得・管理、クラウド型サーバー構築支援など、企業のWeb活用に不可欠なインフラサービスを提供しており、20年以上の運用実績に裏打ちされた信頼性と、24時間365日体制の技術サポートが差別化ポイントとなっています。ストック型収益モデルであることから、事業全体のキャッシュフローを安定化させる役割を果たしています。
3. DX事業 – 革新的技術で企業の変革を加速
DX事業は、同社が今後の成長エンジンと位置づける分野です。 AIやIoTを活用したソリューション開発をはじめ、O2O(Online to Offline)ソリューションなどリアルとデジタルを融合させた革新的サービスを展開しています。電子認証やクラウドインフラで培った技術基盤を活かし、顧客企業の業務効率化やビジネスモデル変革を「安全・安心」の観点から支援することで、高付加価値なDXサービスを提供しています。

GMOグローバルサイン・HDの企業価値を4つの独自視点からチェック!
次に、GMOグローバルサイン・HDの企業価値について分析していきましょう。評判(価値)、実利(実績)、共感(志向)、姿勢(ESG)の4つの観点からチェックしていきます。
各分析の結果はこちら。
1、評判価値
- 2025年5月28日現在の時価総額は245億円。個人および中小型株ファンドがターゲットとする時価総額レベル
- PERは27.4倍、PBRは2.7倍と高い成長期待を反映
- 2025年12月期は配当49.84円(配当性向65.0%)と大幅増配を予定
2、実績(業績)価値
- 2025年12月期1Qは売上高49億円(前年同期比4.0%増)、戦略的投資により営業利益は一時的に減少
- 「電子印鑑GMOサイン」は契約社数・送信件数ともに順調に増加し、事業の黒字化を継続
- 自己資本比率50.3%と高い財務健全性を維持
3、共感(志向)価値
- 「コトをITで変えていく」という明確なミッションのもと、セキュリティを軸にした成長戦略
- VMC、eシール、C2PA、電子公印という成長を支える事業拡大4つのポイント
- グローバル電子認証局トップ4の技術力とグループシナジーによる高い競争力
4、姿勢(ESG)価値
- 電子契約によるペーパーレス化で環境負荷低減に貢献
- 従業員の外国人比率44.0%とダイバーシティを推進
- EcoVadis評価で「committed」バッジを授与、サステナビリティへの取り組みが評価(※)
※Eco Vadis:企業のサステナビリティを評価するための国際的な認証機関(https://ecovadis.com/ja/solutions/ratings/)
それでは各項目について詳しく見ていきましょう。
将来を見据えた3つの成長戦略
同社は将来を見据えた成長戦略として、「耐量子暗号(PQC)」、「コンテンツ認証・電子透かし(C2PA)」、「企業ロゴ所有証明書(VMC) 」の3つを挙げています。
「耐量子暗号(PQC)」は量子コンピュータによる暗号解読リスクに対応するため、2025年6月よりポスト量子暗号対応のテスト証明書を発行。重要インフラ・政府・金融機関向けに先行的な技術検証を開始しました。
「コンテンツ認証・電子透かし(C2PA)」はフェイクコンテンツ問題に対抗するため、C2PA準拠の電子透かし技術を活用した「コンテンツの真正性保証」サービスを開発中。海外の大手メディア事業者が参加する国際プロジェクトに参画し、標準化をリードしています。
「企業ロゴ所有証明書(VMC)」はフィッシング詐欺対策として、正規ロゴをメールに表示するVMCを2025年6月からグローバルに展開。世界のBIMI市場の拡大を取り込む方針です。

主力事業の好調により増収を達成、戦略的投資で将来の成長基盤を構築
2025年12月期第1四半期の売上高は49億976万円(前年同期比4.0%増)を達成。重点商材の「電子印鑑GMOサイン」および「GMOトラスト・ログイン」が好調に販売を伸ばし、着実な成長を続けています。
特に注目すべきは、「電子印鑑GMOサイン」が契約社数・送信件数ともに順調に増加し、事業の黒字化を継続していること。「GMOサイン 行政DX 電子公印」は大阪府での導入をはじめ着実に拡大し、富士電機社とのシステム連携により認知度も向上しています。
営業利益は2億8,516万円(前年同期比32.6%減)となりましたが、これは次の成長に向けた電子認証局関連のシステム投資およびプロモーション施策による戦略的なもの。親会社株主に帰属する四半期純利益は2億240万円(同39.6%減)となっています。
財務面では、自己資本比率50.3%(前期末52.5%)と引き続き高い健全性を維持。2025年12月期通期では、売上高203億9,700万円(前期比6.4%増)、営業利益14億3,400万円(同15.1%増)と増収増益を見込んでおり、中長期的な成長軌道は堅調です。

成長期待を反映した株価指標と積極的な株主還元
2025年5月28日現在の時価総額は245億円となり、個人投資家および中小型株ファンドがターゲットとする時価総額レベルです。東証プライム市場上場企業として、インターネットの安全を守る「信頼できるデジタル社会インフラ」のサービスを提供しています。
PER(株価収益率)は27.4倍と、市場平均を上回る高い水準にあります。これは、電子契約市場の急成長や同社の高い成長性に対する市場の期待を反映したものと考えられます。PBR(株価純資産倍率)も2.7倍と、資産価値に対して高い評価を受けています。
配当政策では、2024年12月期の37.22円から2025年12月期は49.84円(予想)へと大幅増配を予定。配当性向も65.0%と高水準で、ストック型ビジネスによる安定的な収益を背景に、成長投資と株主還元の両立を実現しています。
同社の強みは、電子認証・電子契約といったストック型ビジネスモデルにあります。毎月安定的に積み上がる利用料収入により、強固な財務基盤を構築。この安定収益を基に、成長分野への積極投資を行いながらも、配当性向を50%台から65%へ引き上げるという高水準な株主還元を実現できるのです。まさに「成長」と「還元」の好循環を生み出す理想的なビジネスモデルといえるでしょう。

サステナブル経営でESGを推進、グローバル基準の評価も獲得
同社はサステナブル経営に不可欠なESGへの取り組みを、事業と一体となって推進しています。環境面では、電子契約サービスを通じたペーパーレス化により環境負荷低減を実現。ISMAP等の認定取得により、官公庁・自治体のペーパーレス化にも貢献しています。
また、ダイバーシティを重視し、従業員の外国人比率は44.0%と高い水準を維持。グローバル企業として多様性を強みに変えています。一方、社外役員比率は33.3%(3/9名)、女性役員比率は11.1%(1/9名)となっています。女性活躍の推進とガバナンス体制の充実は今後の課題ですが、サステナビリティ評価機関「EcoVadis」において「committed」バッジを授与されるなど、外部からの評価も高く、今後に期待が持てます。

世界トップ4の電子認証局として、インターネットの「信頼の基盤」を支える企業GMOグローバルサイン・ホールディングス(3788)をご紹介しました。