バスケ界はオレしか変えられない…犬猿のNBLとbjリーグを統合させ巨大市場にした川淵がブチぎれた瞬間「次はラグビー、ハンド」
川淵三郎氏の功績はサッカー界だけにとどまらない。現在は、12の異なるスポーツリーグを連携して、それぞれの強化、発展を目指す日本トップリーグ連携機構の会長として、他競技の改革にも力を入れている。記憶に新しいのは、2つのリーグに分裂していたバスケットボール界の改革、いまや第3のプロスポーツとしての地位を築きつつあるBリーグの誕生劇だ。インタビュー最終回は、改革者・川淵三郎の神髄が分かるこのエピソードを中心に語ってもらう。
NBLとbjリーグが揉めに揉めた3つの課題
──日本のスポーツ文化を劇的に変えてきた川淵さんですが、今、取り組まれている各競技を横断した日本のスポーツ界の改革についてお聞きします。まずBリーグ設立までのバスケットボール界の改革についてお伺いしたいのですが。企業主体のNBL(ナショナルリーグ)とプロのbjリーグの内紛状態からBリーグを設立し、今ではアリーナ・スポーツでありながら野球、サッカーに次ぐ第3のプロスポーツとして定着しつつあります。
(川淵三郎氏) 2014年のことです。バスケットボールの元日本代表監督の小浜元孝さんから相談を受けたんです。「FIBA(国際バスケットボール連盟)から、国内リーグを統一しないと除名すると通知されているから、何とか助けてくれませんか」と。最初、僕は日本のバスケットボール界を代表してきているのかなと思ったのですが、そうではなくて個人的に来ていると言うんです。
「え、個人的に来てるの? なんで」と正直、思いましたが、縁の下の力持ちじゃないけど、私の経験が少しでも役に立つならと思って話を聞いたんです。聞くと、NBLは企業チームである程度お金があって、有力選手は集まってくるけど人気がない。反対にbjリーグはエンタテインメント性があってプロとして地域密着で一生懸命やっているけどお金がないと。それを1つにするにはどうしたらいいのかと相談されたんです。
それで両者の話し合いの議事録を取り寄せて、どう揉めているのか一つ一つ洗い出していってようやく分かってきたのは、3つの大きな意見の相違があるということでした。「プロとして法人化するかどうか」「企業名を出すか出さないか」。それから「bjリーグの財務状況をどうするか」です。それで当時、日本バスケットボール協会(JBA)の会長だった深津泰彦さんに、「俺がやってもいいか」と聞いたら「ぜひやってください」というので引き受けて、取り組んだんです。