ここにはチェーン店しかない…勝どき6200万円2LDKタワマンの3人家族が諦めた、マイカー・2人目・夢と希望 窓際三等兵・連載タワマン文学「TOKYO探訪」勝どき
なぜ、人は「湾岸タワマン」に過剰に反応し、時にヘイトをむき出しにするのでしょうか。それは同族嫌悪なのかもしれません。常にコスパの良さを追い求める現代日本人。その行き着く先が湾岸タワマンなのではないでしょうか。連載タワマン文学「TOKYO探訪」では、ついに窓際三等兵が湾岸に襲いにかかります。湾岸タワマンに住んでなくとも、胸が張り裂ける気持ちになります。
サイゼ、どらっぐぱぱす、家系ラーメン…勝どきにはあるようで何もない
「サンタさんへ いいこにするので、いもうとか、おとおとをください れなより」。たどたどしく書かれた手紙から浮かぶ、期待に満ちた娘の表情。ごめんね、麗奈。この家に赤ちゃんは来ないんだ。勝どき駅直結のタワマン、55平米の2LDK。3人家族でも息が詰まるような空間で、私達は暮らしている。
この部屋を買って、もうすぐ8年。青山一丁目のホンダに勤務する夫と、汐留の法律事務所で事務員として働く私。お互いの職場までは大江戸線で一本、タワマン内に保育園もあるし、公園も児童館もある。少し背伸びして買った6200万円の2LDKは、これから待ち受ける賑やかで幸せな生活を予感させた。
子連れの家庭で溢れかえるサイゼリヤ、なんでも揃うどらっぐぱぱす、家系ラーメン、なか卯。勝どきにはこの世のすべてが揃っていた。「チェーン店しかない」と陰口を叩く奴らには言わせておけばよい。子育て世帯に必要なのは規格化された商品であり、日本人が求めているのは規格化された幸せだ。