炎天下、意識朦朧のまま立ち続ける高齢者…「警備員/70・80代活躍/定年無し」のホラー求人に応募したら
ワシはこのまま死ぬのだろうか
「何時間も立っていると、このまま死ぬんだろうなと思います」
コロナ禍。テレワークだ、臨時休業だと騒がれていた陰で休むことのできなかったエッセンシャルワーカーたち。テレビで医療関係者ばかりが取り上げられている(それが大切な話であるのは事実なのだが)時、筆者は「食べていかなければならない」中高年や高齢者のエッセンシャルワーカーを取材し続けた。そんな中で出会ったのが2号警備員のAさん(70代)だった。
「今日も意識が飛びそうになりました」
都内の建設現場、彼は真っ黒に日焼けして年齢よりも若く見えた。まだ建設の途中、躯体も露わな建売住宅の並ぶ路地に、70代のAさんは「通行止め」の看板と共に立っていた。都内とはいえ都心からは外れた郊外、人通りも少ないというのに、彼は30度近い炎天下、マスク姿で立っていた。前日の雨で、湿度も尋常ではない。
「でも仕方がありません。食っていかなければいけませんから」
大きなリュック姿で帰路につくAさん。駅まで歩くというのでその間に話を聞かせてもらう。こうした現場はスクーターで来る警備員が多いが、Aさんは駅まで20分も歩く。聞けば2019年末からこの仕事を始めたと語る。
政府の「屋外ではマスクをはずしましょう」を完全無視…70代が普通の業界
警備員には4種類の警備業法上の区分がある。1号は施設警備、3号が現金輸送などの運搬警備、4号がいわゆるボディーガード(身辺警備)、Aさんの2号警備は交通誘導や雑踏整理が業務となる。
「歩行者誘導ですから、マスクは仕方ないです。でもつらいですね」
炎天下でも豪雨でも屋外に立ちっぱなしの交通誘導、加えてコロナ禍となりマスク着用が義務ともいえる(日本政府は一貫してマスクを強制していない)状況となってしまった。実のところ、厚生労働省は2020年6月にまとめた熱中症予防行動のリーフレットにおいて「高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高くなるおそれがあるので、屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、マスクをはずすようにしましょう」と呼びかけている。