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「パレットタウン終了がトドメ」お台場沈没…賃料は対岸の半分!オワコン・フジTVを悩ます不便すぎる陸の孤島実態

パレットタウン観覧車の営業終了は、お台場の「終わり」を象徴している

 夏休み最後の8月31日、東京都江東区青海にある大規模複合集客施設パレットタウンでは、大観覧車の営業が終了を迎えました。テレビドラマにもよく登場したあの大観覧車です。1999年に完成したこの観覧車は、高さが115m。当時としては世界最高の高さを誇りました。直径は100m、64台のゴンドラからは東京都内を一望できました。夜になるとLEDライトによるイルミネーションが輝き、首都高速道路レインボーブリッジを走る車窓から眺めると、その姿はとても美しいものでした。

 パレットタウンはお台場を代表する大規模複合集客施設で、バブル崩壊後の1999年にコンペティションにより、森ビルと三井物産が東京都から土地を借地し、建設されたものです。施設は日本の近未来を予感させるようなわくわく感に富んだもので、最新鋭のトヨタ自動車を自由に乗り回せるショウルームであるMEGA WEBは、自動車好きでなくても心躍る空間でした。

 Venus Fortは森ビルが運営するテーマパーク型のショッピングモール。ここでのお買い物は、特に地方から東京見物にやってきた若い女性やカップルで週末や夏休みなどになると大賑わいでした。

 そして、ソニー・ミュージックエンタテインメントとエイベックスの合弁会社によりオープンしたコンサートホールZepp Tokyoでは様々なライブイベントが開催され、東京の最先端の流行発信地として常に若者の憧れの的であり続けました。

 残念なことに、大観覧車の営業終了はこの栄華を誇ったパレットタウンのエンディングで、すでに昨年12月末のMEGA WEB の閉館を皮切りに、今年1月にZepp Tokyo、3月にVenus Fortがクローズした後の、いわば最後のイベントとでもいうものだったのです。

フジテレビが移転してきた頃がピークだった

 お台場が注目され始めたのは1996年頃のことです。当時開催される予定だった世界都市博覧会の開催地として選定されたことがきっかけでした。この博覧会は、東京都知事が青島幸男さんに代わると中止が発表され、この地に進出を予定していた多くの企業が進出を取りやめる騒ぎとなりましたが、開発は進み、95年11月に新交通システムゆりかもめの新橋―有明間が開通。96年3月には貨物線を旅客化し、第三セクター方式で運営するりんかい線の新木場―東京テレポート間が開通して、街としての機能を整えていきました。

 そして世の中におおいに話題を提供したのが、97年にフジテレビ本社が新宿区の河田町からこの地に移転してきたことでした。当時のフジテレビはバラエティ番組やドラマで数々のヒットを飛ばし、ニュース番組でも女子アナブームを巻き起こすなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。まさに流行の最先端をクリエイトするメディアとして、他社の追随を許さぬものがありました。

 流行に敏感な商業施設の集積もこの街の魅力を高めました。96年7月開業のデックス東京ビーチは住友商事系グループが開発、現在は東急不動産グループの運営。2000年には三菱地所系のアクアシティお台場、2012年には三井不動産、サンケイビル、大和ハウス連合でオフィスビルや商業施設が入ったダイバーシティなどのオープンが相次ぎました。また、JAL系やヒルトンなどの高級ホテルもそろい、お台場は東京を代表する街へと成長します。

 特にデベロッパーは、当初こそ世界都市博覧会の中止で参入には二の足を踏んでいたものが、都心部の再開発のタネ地がないこと、ゆりかもめが豊洲まで、りんかい線が大崎まで開通するに及んで徐々にお台場に注目。商業施設に加え、オフィス、マンションの開発に力を入れたのでした。

お台場凋落の元凶とは

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この記事の著者
牧野知弘

不動産評論家。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て三井不動産勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て、2015年にオラガ総研株式会社の代表取締役に就任。ホテルなどの不動産プロデュースを展開。2018年に全国渡り鳥生活倶楽部株式会社設立、代表取締役を兼務。著者に『ここまで変わる!家の買い方 街の選び方』(祥伝社新書)など多数。

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