なぜ人口増? 美しいビーチ「サザンでは聴くけど」…茅ヶ崎に人が集まる理由 東京まで乗り換えなし1時間弱! 中古マンション4000万円台から

東大卒不動産評論家の牧野知弘氏が住みよい街を紹介する大人気連載の最新回は、茅ヶ崎が舞台だ。誰もが一度は憧れたことのあるこの街の魅力は、近年さらに増しつつあるというーー。
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茅ヶ崎といえばサザンオールスターズ
さて今回ご紹介するのは神奈川県茅ヶ崎市です。私は藤沢市在住ですが、茅ヶ崎は隣町。浜辺を散歩していると自然に茅ヶ崎になります。藤沢は素敵な街ですが、湘南の代表格といえばやっぱり茅ヶ崎でしょうか。
JR東海道線の「茅ケ崎」駅に降り立つと、発車メロディはサザンオールスターズの名曲「希望の轍」が流れます。多くの人たちに茅ヶ崎がサザンオールスターズの歌手桑田佳祐の故郷であることを思い出させます。プラットホームに流れる希望の轍の歌詞には茅ヶ崎を想起させるフレーズはあまりありません。でも歌のさびの部分で「遠く遠く離れ行くエボシライン oh my love is you」で茅ヶ崎の沖に浮かぶエボシ岩が登場します。ここでいうエボシラインとはおそらく茅ヶ崎の海沿いを東西に走る国道134号線を指すのだと思われます。
昨年夏、サザンオールスターズの4日間、10年ぶり3回目となるライブが市民球場で実施されました。地元では物凄い人出であふれた聴衆が浜辺に集結。踊りまくりました。一部の人たちは、「うるさい」だの「ゴミが大変」だの「人が多すぎて生活できない」などと文句を言ったそうですが、おそらく誤解を恐れずに言えば、少数派です。街の人、特に古くから住む茅ヶ崎人たちは、むしろ「おかえりなさい」「ひさしぶり」「みんなで楽しもうぜ」だったはずです。なぜならサザンオールスターズはもはや茅ヶ崎の一部だからです。
ちなみにTUBEは2010年鵠沼海岸でライブを行いました。TUBEは鵠沼出身ではありませんが「湘南My Love」を含め多くの湘南サウンドを作曲しています。海岸は大盛り上がりで、チケットを持たない人たちはみんな砂浜で流れてくるサウンドにあわせて全員が踊っていました。湘南の持つ緩やかな雰囲気はこのエリア独特のものがあります。
茅ヶ崎は「海」というイメージがあまりにも強いので、茅ケ崎駅を降りるとすぐにビーチが現れると思っている人が多いかもしれませんが、茅ケ崎駅から海岸までは直線距離で1.5キロほどあります。駅から気分を高揚させてビーチに向かっても歩いて20分程度かかってしまいます。でも茅ヶ崎という街を楽しむのならばバスには乗らずに歩いて海までのアプローチを楽しむことをおすすめします。
加山雄三や開高健など大物たちが愛した海までの道
まず駅の南口正面にある通りは、雄三通りです。歌手で俳優の加山雄三がかつて住んでいた場所がある通りで、今はマンションとなっていますが、この道をまっすぐ南下するのが海への近道です。よくこの道をサザン通りと間違える人がいますが、サザン通りは駅からのアプローチでは一番西側にできた比較的新しい名称の通りです。加山雄三先輩のほうが偉い?のです。
湘南の海の香りを楽しみながら歩くにはラチエン通りがおすすめです。サザンオールスターズの「ラチエン通りのシスター」に登場する通りですが、茅ヶ崎に住み、この地をこよなく愛したドイツ人ルドルフ・ラチエンに因んでいます。この通り沿いには作家、開高健の邸宅もあり、現在では記念館として保存されています。この通りを南下して海を臨むと眼前にエボシ岩が登場する格好の映えスポットになります。