プロフィギュアスケーターになって稼いだお金で寄付や支援を…夢を叶えた羽生結弦、能登の氷上を仲間と共に、立つ
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それでも羽生結弦は人々のために立つ。いまも被災地、能登の氷上に立つ
「いま、まさにつらい思いをされている方々もいらっしゃるので、そういった方々に、ちょっとでも力になるような、元気になるような演技を届けられたらなと思っています」
繰り返しとなるが、善いことは繰り返し書かなければならないし、繰り返し書いて構わないと思う。
あの男の子がいま――自伝『蒼い炎』の印税、チャリティーショー、チャリティーオークション、2011年から2012年にかけてのこの篤志こそ、羽生結弦のフィギュアスケートと並ぶ、もうひとつの「原点」だったように思う。
他人のため――はっきり言って、しなくてもいい行為だ。しないアスリートだっているし、それは誰も責められない。収入の不安定な仕事であり選手寿命だって限られる。大成するかどうかもわからない。
それでも羽生結弦は続けてきた。そしていまも被災地、能登の氷上に立つ。
羽生結弦が与えてくれた能登の震災を知る機会
今回、ある意味9月15日『能登半島復興支援チャリティー演技会~挑戦 チャレンジ~』は羽生結弦が与えてくれた能登半島震災を改めて知る機会でもあり、それは演技会の主題でもある。
そこで生々しい能登の実態を、ここで災害弔慰金認定審査会の審査から引く。厳しい内容だが、これが376人という数字の真実である。そして羽生結弦の言う通り「いま、まさにつらい思いをされている方々」の真実でもある。
この内容の公表について、認定審査会は遺族の許可を得ていることを先にお断りしておく。
※以下の原文は震災とその関連死を扱うためご注意ください
〈近隣のビニールハウスに避難しており、トイレが使用できないため近くの畑へ行き転倒、自力で動けない状態となり、低体温症のため死亡〉80代女性
〈避難所への避難による生活環境の激変により心身に相当の負荷が生じ、専門的な医療を受けることができい状況で基礎疾患が悪化した結果、 肝不全のため死亡〉60代男性
〈震災後の避難所生活や水分の補給不足、薬の不足、運動不足、転居など生活環境の激変により心身相当の負荷が生じた結果、急性心筋梗塞のため死亡〉 70代女性
〈特別養護老人ホームで被災。施設は停電により暖房が使用できないという過酷な状況の中、間質性肺炎のため 死亡〉 80代女性
〈自宅で被災し、近隣の自主避難所にいたが、停電により暖房が使用できず翌日帰宅。その後体調不良、 発熱により入院したが肺炎のため死亡〉 80代男性
〈自宅で被災し近隣の福祉施設に避難したが、停電により暖房が使用できない中、体力が低下し、嚥機能障害等の基礎疾患と相俟って誤嚥性肺炎のため死亡〉 80代男性
〈自宅で被災し複数の避難所を移動後、1.5次避難所を経て金沢市内のアパートに入居。 地震によるショック・ストレスや生活環境の激変により心身への負荷が生じ、うっ血性心不全と細菌性肺炎のため死亡〉 80代男性