ガチムチ崇拝主義、禁止薬物(ゴメオ・ラッシュ)、生涯独身…サムソン高橋「中年ゲイの背後につきまとう三大健康害悪から開放される唯一の方法」

LGBTQの健康問題について一般の読者はあまりご存知ないだろう。ゲイライターのサムソン高橋氏は「ゲイは明らかにノンケの人たちよりも健康に問題を抱えている」と指摘するーー。みんかぶプレミアム特集「健康情報の本質だけをまとめました」第7回。
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「キショガリ」はモテないので無理にでも太る
ゲイライターなのでゲイの健康についてというなかなかニッチな話をさせていただくのだが、わりと笑い事ではない。現在56歳の私の知り合いはだいたい半分がゲイ主体のLGBTQ、そして半分は普通のノンケなのだが、最近とくに聞くようになった、身体を壊したとか行方が知れなくなったとか亡くなったとか、そういう類いの報はほとんどがゲイ主体LGBTQの知り合いからなのである。
実際の統計は知らないがあくまで体感で言うと、私たちゲイは明らかにノンケの人たちよりも健康に問題を抱えている。
その問題は大きく3つあげられると思っている。
まず一つ目。摂食障害については皆さん良くご存じだと思う。主にSNSやK-POPやキャバ嬢周辺で見られる痩身礼賛によって、若い人たちにとっての摂食障害は以前よりもさらに身近で深刻な問題になっているのではないだろうか。言葉や態度に関するルッキズムはおおいに非難されるのに、反面見た目には必要以上にこだわってしまい、極端なダイエットや整形に走ってしまう。スマホによって歪められた世界を象徴する風潮だ。
同じことはゲイの世界でも言える。一つ違うのは、ゲイではその摂食障害の方向がまるっきり逆ベクトルなのである。
とにかく皆、太りたがる。
SNSなどでよく見られる女性のビフォーアフターは、ムチムチながらも健康そうな体躯が鶏ガラのようなガリガリへ変貌していたりするのだが、これがゲイだと170㎝60㎏の普通体型の男が100㎏へと増量し「キショガリだった僕も頑張ってガチムチになれました!」と喜びに満ちた報告をするという、なかなか狂った世界が見られるのである。ベクトルは逆だが、両者ともに健康に悪い。
ちなみに、ゲイの世界では「キショガリ」という言葉がかなりの市民権を得ている(どんなシチズンシップだよとは思う)。ノンケの世界、つまり普通の社会で太目の悪口は多くても細身の悪口は少ないはずだ。しかし、ゲイの世界では細身をカジュアルに罵倒するのである、「キショガリ」と。そしてデブに対しては「ガチムチ」と美しく言い換えた言葉が存在する。今のところそんなものは細身に対しては存在しない(「ナイススティック」とかいいんじゃないかと思う)。