中学受験「1月に小学校休むか問題」の本質…欠席賛成派が知らない「子どもの情緒への悪影響」その対策とは?

今年も中学受験が間近に迫っている。そんな中でこの時期になると「中学受験勉強のために小学校を休ませるべきか」という論争が出てくる。答えのない問いではあるが、実際どうするべきなのだろうか。雑誌プレジデントでは数々の受験や学歴の記事を取材し、自身も中学受験サバイバーである教育問題に詳しい小倉健一氏が解説するーー。
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実際に子どもに与える影響が今ひとつわからない
中学受験が間近に迫る1月も半ばになった。
毎年1月になると、小学6年生の多くが学校を休むという現象が広がる。中学受験をする子供を持つ保護者であれば、この状況について一度は耳にしたことがあるはずだ。「1月に小学校を休ませるか」という問題は、中学受験における長年の議論の的であり、賛成派と反対派の間で意見が分かれる。
賛成派は、精神的負担の軽減や勉強時間の確保といった理由を挙げる。一方で反対派は学校での息抜きや生活リズムの維持を重視する。どちらの意見にも一定の理があるため、絶対的な正解がないテーマだとされてきた。
しかし、こうしたことを扱った記事をいくら読んでも、実際に子どもに与える影響が今ひとつわからないというのが保護者たちの実感ではないだろうか。大手塾もこの手の問題については、「ポリコレ」を意識したのか、休め、休んで勉強しろ、などとは決して積極的には言わないところもある。
私自身は、同調圧力の強い日本社会にはほとほと嫌気がさしているので、休む、休まないはどんな理由であれ、自由であると考えている。国民にとって大事な選挙であっても遊びに行くなどの様々な理由で、投票に行かない人が毎回約半分はいるというのに、なぜ、小学校の欠席だけが咎められるのかがさっぱりわからない。
そこで今回筆者は、学校を休むことについての子どもへの影響についての研究を調べてみた。休む、休まないを決めるというよりは、休んだときの影響を知っておけばケアもしやすいのではないか。先行研究の結果を見る前に、現状をまず知ってみよう。
「中学受験のバトン活動」を続ける保護者のレモンさんがとった「中学受験を控える保護者5284人を対象に実施されたアンケート」では、1月に学校をすべて休ませると回答した家庭が37%にのぼったという。部分的にでも休ませる家庭を含めると全体の76%が1月に休む選択をしており、休まない家庭は24%にとどまった。このアンケートは広く関心を集め、59万回以上も表示された。
休ませない方が珍しい「中学受験組」
また、「yokko@スクマ!運営」氏がXに投稿した内容(2020年11月28日付)では、<受験直前期に学校を休むべきかについては賛否両論あるので、/とりあえず今までの生徒の統計をあげると、/1ヶ月全休: 3割/毎週1、2度休む: 3割/直前1週間休む: 3割/基本全出席: 1割/ぐらい。/子供がメンタルを崩さない範囲で、合格可能性が最大になる選択肢を取れば良いと思う。>とあった。
これらを総合すると、中学受験をする小学6年生の3割は1月は全部休んでおり、一切休ませないという家庭は10%程度ということになる。
コアネット教育総合研究所は2024年2月20日に「2024年首都圏中学入試総括レポート」を発表している。2024年度首都圏中学入試の受験者数は前年度比900人減の6万5,600人となり、9年ぶりに減少した。中学受験率は22.7%に達し、過去最高を更新した。
つまり、クラスの6%、20人のクラスであれば1〜2名が1月は小学校を全て休み、4名は何らかの日数で学校を休む計算となる。
「小学校における欠席の学年別および累積的な影響」
中学受験とは関係ない人も含めたアンケートもある。「Ameba塾探し」が実施したアンケートによると、全国の小学6年生から大学4年生の子どもを持つ保護者500人の間で、中学受験のために学校を欠席することに対する意見が分かれた。「賛成」「どちらかといえば賛成」を合わせた割合は41.0%、「反対」「どちらかといえば反対」を合わせた割合は38.0%で、両者の差は3.0%とほぼ拮抗している。