じゅそうけんが解説「東大合格実績を伸ばしそうな『お買い得』中高一貫校リスト」(首都圏)…「入口」より「出口」のレベルが高い「今最もアツイ学校」

2月25日から、大学受験界最大のイベント、東京大学の入試が始まる。
毎年、東大合格者数が発表されると、教育界はどこの学校の合格者数が伸びたのかというテーマで教育界は大いに盛り上がる。
そこで学歴活動家のじゅそうけん氏に、今年の東大入試で合格者数が伸びそうな学校を予想していただいた。今回は首都圏編だーー。みんかぶプレミアム特集「中学受験の新勝ち筋」第1回。
目次
近年の大学入試は中高6年間の努力を必要とする
近年の受験はもはや高校3年生の1年間の成果を図るものではなく、一般受験、推薦入試ともに中高6年間の取り組みの成果を出す場となっている。
この流れがある以上、6年間一貫教育を行える学校が進学実績を伸ばすことは必然と言えるが、関東圏の進学校もただ手をこまねいているだけではない。
各校、進学実績を伸ばすよう取り組みを行っていく中で、5年後10年後の自校の立ち位置をしっかりと高めていくのは特に私立の学校法人としては当たり前の経営戦略だろう。
そこで今回は、2025年に東京大学の合格実績を伸ばすであろう中高一貫校を紹介する。
2025年東大合格実績を伸ばしそうな中高一貫校その1は、東大26名合格、近年急速に伸びているこの女子校
2025年に東大合格実績を伸ばしそうな一貫校その1は、豊島岡女子学園中高である。
豊島区東池袋の池袋駅にほど近い場所に所在する本校は創立1892年の歴史を持つ女子校だ。
近年は特に、女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉)を猛追する進学実績でも有名である。
実際、2024年の実績は東京大学26名、国公立医学部医学科に44名、早慶に218名と輝かしい実績を残しており、東大受験専門塾「鉄緑会」の指定校に女子御三家以外の女子校で唯一指定されている。
本校は特に理系教育で注目されており、医学部や薬学部といった理系学部へと進学する生徒が多いことでも有名だ。
同校の2024年の系統別大学合格者の割合は、1位が理学・工学部(27.0%)、3位が医学部(16.4%)となっており、他の女子校と比較しても非常に高い理系率と言えるだろう。
完全中高一貫化と私文コース廃止が理系色をさらに強める
そんな本校は、近年2つの大きな変化があった。
1つ目は22年度入試から高校の募集を停止し、完全中高一貫化したことだ。
これは、新年の都立高校の人気の高まりから上位都立高の併願先としての受験が多かったという実態も理由の一つだが、中高一貫化でより深い学びを提供し、情報処理能力や理工系の基礎力を高め変化する時代に適応できる人材を輩出したいという学校側のメッセージとも捉えられるだろう。
そして2つ目は私立文系のコースを廃止だ。
もちろん、国立文系コースは存在するわけで、そこから私立文系を受験すればいいだけなので私立文系を受験してはいけないというわけではないが、少なくとも「最初から数学を捨てる選択はさせない」という学校側の強いメッセージだろう。
理系志向の生徒が多いとはいえ、この選択は勇気のいるものだったと思うが、他の女子校によくある「伝統教育」や「グローバル路線」に走らない選択を取ったことは理系志向、医学部志向の家庭、生徒にとっては際立って魅力的に映る方針だ。
何より、女子校で医歯薬系の進路を考えている生徒にとっては、同じ目標を持った友人、先輩が多くいるという環境は得られがたいものであり、このような環境の中で本校の難しい算数の試験を潜り抜けた優秀な女子たちは、今後も本校を押し上げる進学実績を叩き出していくことが予想される。
2025年東大合格実績を伸ばしそうな中高一貫校その2は、かつての名門校…学歴活動家「復活の兆しが見える」なぜなのか
2025年進学実績を伸ばしそうな一貫校その2は、巣鴨中高だ。
1910年創立の男子校で、中学からの入学のほか高校からの入学も可能な併設型の男子校だ。
特に親世代の方には馴染みのある名門校だと思うが、30年ほど前は東大合格者40〜50名を出す、都内有数の進学校として知られたが、近年その実績は低下しており、23年度は東大合格者3名、24年度は同5名となっている。
そんな本校は質実剛健そのものの校風で、「硬教育」、「努力主義」を掲げた教育方針でも有名だ。
これは、学校行事にもよく現れており、たとえば、正月早朝から道場でおこなう寒稽古、褌姿で実施される遠泳、そして校門での「一斉持ち込み検査」(携帯電話の持ち込みは禁止)など、「時代錯誤」的なイメージを抱いた受験生や保護者から敬遠されるようになり、近隣の自由な校風で知られる本郷中高、長年のライバルである芝中高などに人気を奪われ、実績も低下していった。
「入口」より「出口」のレベルが高い「お買い得校」にもなり得る「今最もアツい」中高一貫校
しかし、本校は復活の兆しを見せていると筆者は感じている。