日本フィギュアスケート発祥の地…羽生結弦の原点を、想う。仙台市アリーナ開館記念イベント「The First Skate」エッセイ(3)

目次
清涼のイナバウアー

日本フィギュアスケートのふるさと、仙台。
羽生結弦のふるさと、仙台。
仙台、それは、羽生結弦という時代の原点。
羽生結弦はそのふるさとの新リンク、仙台市アリーナ(ゼビオアリーナ仙台、以下ゼビオ)で〈始まりがひとつのテーマ〉〈自分にとっては始まりの季節、春〉として「春よ、来い」を滑った。
これに先立つオープニングでは「The Final Time Traveler」の衣装で登場。その淡き水縹ふたたび――ひときわの歓声となった羽生結弦、これもまたひとつの原点、2014年フィギュアスケートGPファイナルのエキシビションから私たちの記憶にある衣装――2012年に発売されたゲーム『タイムトラベラーズ』のエンディング曲、まさに「ゲームガチ勢」の羽生結弦の面目躍如である。
同ゲームの「大災害後の人間の生き様(よう)」「何度だってやり直せる」という根底にあるテーマ、思えばゼビオそのものの完成も2012年、まさに仙台、新リンクにふさわしい〈始まり〉の衣装と思う。のち私がXで言及した「清涼のイナバウアー」もまた、こけら落としにふさわしい「美」であった。
前後したがこの「新リンクにふさわしい」こそ羽生結弦が語る通りの〈始まり〉にふさわしい「春よ、来い」であった。
「春よ、来い」
私も「春よ、来い」についてはこれまで何度も言及してきたが、『能登半島復興支援チャリティー演技会~挑戦 チャレンジ~』のときはこう書いている。※1