「レゴランドはあっても本屋はない」タワマン購入前に知っておきたいお台場という街の2026年…あの事件で地に落ちたブランドイメージ、観光に食い尽くされた街に住んでいるのは一体誰?
「住みたい街」と評される人気のエリアにも、掘り起こしてみれば暗い歴史が転がっているものだ。そんな、言わなくてもいいことをあえて言ってみるという性格の悪い連載「住みたい街の真実」。
書き手を務めるのは『これでいいのか地域批評シリーズ』(マイクロマガジン社)で人気を博すルポライターの昼間たかし氏。第16回は、凋落が著しい「お台場」を歩く。一体、今さら誰が住んでいるのだろうか?
目次
あの事件で街のブランドイメージは地に落ちた
お台場に対する最近のイメージは凋落の一途である。
オシャレな観光地として注目を集めたのも、はるかに昔の話だ。地域の象徴ともいえるフジテレビは性加害事件でブランドイメージが地に堕ちた。
パレットタウンの閉鎖によって、ランドマークだった観覧車もなくなり、跡地にできたイマーシブ・フォート東京は、瞬く間に閉鎖。終了の挨拶で「この場所で数多くのイマーシブ体験が生まれました」と書いてるが、死にゆく街の没入感(イマーシブ)があったことは確かだろう。
もはや、プラネタリウムのある青海の日本科学未来館や、船の科学館終了後も遺された初代南極観測船・宗谷の見学にでかけることがあっても、お台場そのものに価値はない。一時は賑わった中国人観光客の姿もすっかり減った。
いまだに消えぬのは、砂浜でLOVEの文字の風船を買ってキャッキャと写真撮影を楽しんでいる女子高生のグループ。けっこう、平気で海に足を踏み入れて撮影してるけど、後で腹を下しているんじゃないかな。

お台場には一体、誰が住んでいるのか?
そんなお台場にも、それなりの数の人が住んでいる。
2026年3月現在、台場1丁目が2110世帯、4,570人。台場2丁目が481世帯980人となっている。2002年9月時点で台場1丁目が1941世帯、4506人。台場2丁目が0世帯0人だったので、過去20年あまりで人口は増えたといえるかもしれない。
ただし、である。増えたといってもあまりにもしょぼい。台場1丁目は24年間で164世帯・わずか60人の純増だ。一丁目の住宅はUR賃貸とJKK東京(東京都住宅供給公社)が共同開発した「シーリアお台場」がメイン。一番街・三番街・五番街、あわせて866戸。これに都営住宅のトミンタワーやトミンハイムが加わる。要するに、すべてが賃貸である。2001年の竣工からすでに四半世紀が経過し、入居者がそっくり入れ替わるサイクルを何度か経てもなお、ほぼ同じ人口が維持されているにすぎない。新たに人が押し寄せているのではなく、抜けた穴を埋めているだけだ。
一方の台場2丁目は、ゼロから980人に膨れ上がった。こちらは2006年竣工の分譲タワーマンション「ザ・タワーズ台場」のおかげである。East棟とWest棟、計525戸のツインタワー。お台場エリアで「唯一の分譲マンション」という肩書がつく。裏を返せば、デベロッパーですらこの地にもう一棟建てようとは思わなかったということでもある。中古価格は2LDKで1億円前後。屋上のティアラ(王冠)のデザインが売りだが、凋落する街で王冠を頂くのは、落城寸前の天守閣に旗を掲げているようなものだろう。

合算すると、台場の住民は約5550人。港区全体の人口が26万人を超えていることを思えば、2%にも満たない。しかも、その住民の大半は賃貸住まいだ。分譲のザ・タワーズ台場に住む約980人を除けば、残り4500人超はUR・JKK・都営住宅の入居者である。