「まっくろくろけ」の岸田ブラックサンタ…国民に”1兆円増税爆弾のプレゼント”をお見舞いだ! 公約違反など気にしない

子どもたちにはクリスマスプレゼント、今年の冬は大人にも大きな贈り物が
12月に入って、世間はすっかりクリスマスモードだ。各地でクリスマスにまつわるイベントが催され、街を歩けば、家の玄関脇にLEDライトのクリスマスツリーが置かれた風景を目にすることも多くなってきた。
クリスマスでは、子どもたちに、サンタクロースからプレゼントが届けられる。でも今年は、大人にもプレゼントがあるらしい。岸田文雄ブラックサンタから、1兆円増税という、決してもらいたくない贈り物が届けられることになりそうなのだ。
童謡「あわてんぼうのサンタクロース」には、あわてんぼうのサンタクロースが、プレゼントを持って家に入ろうとして、煙突から落下。顔が「まっくろくろけ」になるという歌詞がある。
支持率が低迷し、明らかに顔色が悪く「まっくろくろけ」になってしまっている岸田首相は、防衛力強化に向け、自らの指示によって2023年度から5年間の防衛費を総額43兆円に増やした。これは現行計画の約1.5倍にあたる金額だ。そして、2027年度以降に必要な年4兆円のうち、歳出削減や剰余金などでは賄えない1兆円強を、増税で捻出しようとする考えで、具体的に何を増税するかについて、年末までに結論を出すとしている。
さて、ドイツには、クネヒト・ループレヒトというおとぎ話がある。長いひげをたくわえ、黒い服をまとい、長い棒を持って現れ、「わるいこ」を袋で叩いたり、石灰や石、棒きれなどの全く嬉しくないプレゼントをくれるのだ。ときには地獄へ連れて行ってしまうこともあるのだという。この話が今では、良い子に素敵なプレゼントをしてくれるサンタクロースにもじって、ブラックサンタクロースというお話になって伝わっているようだ。
今回の増税は、岸田首相が国民を「わるいこ」と判断した結果なのだろうか。岸田ブラックサンタ誕生までの軌跡を追ってみたい。
「国の借金が減れば景気が良くなる」…筋金入りの増税論者、岸田文雄という政治家
まず、岸田首相の所属する派閥「宏池会」は、歴史的に、財政再建を優先する派閥だ。財政再建とは、簡単に言えば、国の抱える借金を減らすことだ。社会保障費を削ることや景気対策をしないことは大きな批判を浴びるので、国の支出を抑えることは難しいとされていて、結局日本では、財政再建をするということは、税金を上げることと同じ意味になっている。
残念ながら、岸田首相の首相になるまでの発言を追うと、筋金入りの財政再建論者(増税派)ということがわかる。
「財政健全化の道筋を示すことが、消費を刺激して経済の循環を完成させる」
「財政出動が将来への不安を増大させかねない」
「国際的な日本の信頼確保を考えれば消費税率引き上げは不可欠だ。増税を可能にする経済環境をつくる」
「財政再建について今の日本の状況を考えると、もう少し真剣に取り組む必要がある」
「最優先の課題として消費税引き上げが必要」
などと、積極的に増税をしろと発信してきたのだ。私にとっては全く理解に苦しむことだが、岸田首相の考えに立つと、国に借金があるままだと「賃金が上がっても思いきって消費をしないし機動的な経済政策もしにくい」のだという。だから、岸田首相は、消費を増やすために消費税増税を強く支持してきた。だが、言うまでもなく、多くの国民は「国に借金があるから、スーパーやレジャーでの消費を控える」などという行動をとるわけがない。実際、消費税増税後は、決まって消費意欲は落ちている。
選挙公約では増税に一切触れず…岸田ブラックサンタの明らかな公約違反
しかし、今、私が問題にしたいのは、首相になる前夜、総裁選において、岸田首相は自らの増税論を封印したということだ。
「すぐに増税で財政(赤字)を埋めることは全く考えていない」
「新型コロナウイルスとの共存の段階で増税を言ってしまうと、今のシナリオが全部ガタガタになってしまう」
「消費税率について10年程度は上げることは考えない」
「まず成長を目指すことが極めて重要であり、金融所得課税を優先させない」
「税を上げて財源にすることは想定していない」
この発言から、岸田首相が増税をすると感じた国民は一人もいないだろう。そんな岸田首相のブラックサンタ化は、選挙公約を見ればわかる。首相になった後に行われた2021年衆院選、2022年参院選においても、公約に「増税」の文字がないからだ。
『自民党衆院選2021公約』
- カーボンニュートラル実現に向け投資促進税制
- 賃上げに積極的な企業への税制支援
- 住宅ローン減税
- DX税制を活用し、伴走型支援を進める
などと書いてある。「減税」もしくはそれに近いニュアンスの公約はあるものの、財政については、「経済成長を阻害しない安定的な税収基盤の構築の観点から、税制の見直しを進めます」としか書いていない。
1兆円も増税すれば、経済成長は確実に阻害されることになるので、確実に公約違反であろう。
次に、2022年参院選の公約だ。この選挙は、ロシアによるウクライナ侵攻が行われたあとで実施された。つまり、防衛費が大幅に増額することはわかっていたはずである。
『自民党参院選2022公約』
- 賃上げ税制を進めます。
- 規制緩和と税制など政策総動員で魅力的な投資環境を実現します。
などと書いてある。減税という言葉が消えたものの、増税という文言はない。財政については「経済成長を実現し、財政の健全化を進め、将来の安心を築きます」とあるが、この文言から1兆円も増税されると考えた国民はいないだろう。
国民の怒り爆発…今回は撤回したとしても、いつの日かまた強力な増税爆弾が届けられる
結果として、今秋から突如始まった増税議論。この議論を先導したのは、自民党の税制調査会長・宮沢洋一氏で、岸田首相のいとこで、選挙区は広島とこれも岸田首相と一緒で、増税派の宏池会だ。報道によれば、毎年110万円まで非課税となっていた生前贈与のルールは、改悪(条件が悪くなり、国民にとって負担増)される見通し。さらには、消費税アップ、走行距離(道路利用)税の新設、富裕層への課税強化、(国防費増にともない)法人税、所得税アップが検討されている。
選挙でも増税を言わず、あたかも減税をするかのような大ウソをつき、誇大広告も甚だしい。しかし、ウソをついても岸田ブラックサンタは罰せられることはない。騙(だま)された方が悪いとばかりに、「わるいこ」である国民には嬉しくない1兆円増税爆弾のプレゼントが贈られてくるのである。
ただし増税が発表された時の世論の怒りの大きさに、今、自民党や岸田ブラックサンタは震え上がっている。増税をぶち上げてしまったものの、どうにか誤魔化せないものかと日々右往左往しているのだ。もしかすると、増税は撤回されるのかもしれない。しかし、国債でそれを賄うのなら、それはただの将来への先送りである。歳出を削減するなり、徹底的にムダを省くなりの方法がなければ、増税が撤回されたとしても、ただの誤魔化しにすぎないのだ。
冒頭で述べた童謡「あわてんぼうのサンタクロース」には、「もう一度来るよ」とシャラランランとサンタクロースが帰っていくシーンが描かれている歌詞がある。たとえ、いったん増税を引っ込めたとて、岸田ブラックサンタは筋金入りの増税派である。いつしか、国民を奈落の底に落とすような、強力な増税爆弾を届けてくるのは間違いない。それが今なのか、少しだけ先送りされるかの問題であろう。
日本はこのままブラックサンタに滅ぼされてしまうのだろうか。