【中国・習近平重大疑惑】「ゼロコロナ政策」の大嘘! 数が全くあわない死者と火葬数…焼かれた人たちは一体誰だ

ゼロ成長に陥った中国経済、若者の5人に一人は失業者

 上海のロックダウンなど、中国の行き過ぎたコロナ政策が世界中の批判を集めている。ロシアのウクライナ侵攻という想定外の事件が勃発したとはいえ、ようやくコロナ後の経済再生に動き出した世界経済に、習近平国家主席が固執する「ゼロコロナ政策」が冷や水をかけていることは間違いない。

 もちろん、こうした習近平政権の愚策による、中国国内の人々への影響も甚大だ。そもそも中国では、日本や米国、欧州などの先進諸国と違い、コロナ対策としての補助金の類が政府から一切、支給されていない。だから、コロナ対策で経済がストップしてしまうと、まず真っ先に影響を被るのは家計のバランスシートである。

 日本同様、中国でも多額の住宅ローンを抱えている人は多いが、その返済が滞り、教育費や親の介護費などの支払いにも影響が出る。ちなみに日本の住宅ローン金利は1%未満なのに対して、中国の住宅ローン金利は平均5%強に上る。個人の懐が厳しくなれば、当然、企業の収益も悪化する。特に国有企業ではない、民間の中小企業は経営が悪化しているところも多く、リストラが続出するなど、ひと昔前の日本企業のような苦境にあえいでいるようだ。

 実際、7月15日に中国国家統計局から発表された2022年4月から6月の四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比0.4%増にとどまり、政府が掲げた年間5.5%増の目標値にはるかに及ばないどころか、悪化が見込まれていた直前の大方の予想をも大きく下回った。最も影響を受けているのは若年層で、同じく統計局から発表された失業率調査では、16歳から24歳までの失業率は19.3%に上っている。5人に1人の若者が失業者。これが中国経済と中国社会の実態なのだ。

上海ロックダウンではスーパーも閉鎖、庶民はどうやって生きていけばいいのか

 今のところ、中国国内で社会不安につながるような大きな動きは伝えられていないが、こうした状態が続くと、そろそろ市民も抑制できなくなってくるかもしれない。今は習近平が進める言論統制にコロナ禍が加わり、なかなか中国市民の生身の声が伝わってこない状態が続いている。だが、いつかは人の往来が自由になる時が訪れる。そうなった時に、中国経済の変調と国民生活への影響が一気に明らかになるかもしれない。

 そもそもなぜ、中国政府はコロナに対して、諸外国では考えられないような過剰な反応をするのだろうか。コロナ初期、武漢の街を文字通り完全封鎖して、外部から遮断した光景を覚えている人も多いと思うが、今回の上海ロックダウンも同様に、市民の行動を完全にストップしてしまった。しかもスーパーも営業停止にしてしまったのだから、生きていくために必要な最低限のライフラインまで止めてしまったことになる。これはコロナ対策で絶対にやってはいけないことの一つのはず。「人民のため」という大義名分を掲げながら、全く国民の生活を考えていない。

午前中に300人の患者を一人の医師が。すでに崩壊している中国の医療現場

 この背景には、中国ならではの、西側先進国とは異なる医療の事情もある。日本でも、コロナで感染者数が増えるたびに、医療体制の危機が問題になるが、中国はこのレベルではない。なぜなら日本では全国津々浦々、町のいたるところに個人開業のクリニックがあり、大病院にかかる必要がない軽症者や、その他様々な患者を受け入れる体制ができている。だが、中国にはこれが全くないのだ。

 理由は簡単なことで、中国では鄧小平以来の「改革・開放政策」であらゆる分野の民間開放が進んだが、医療は除外されているからだ。日本でも医療や介護の分野での民間開放は、反対意見が寄せられるものだが、中国は基本的には社会主義国家である。小さな病院がたくさん作られてしまうと、ガバナンス体制が脆弱な中国では、十分な監督をすることができず、結果として腐敗が横行することにつながりかねない。「人命にかかわる分野では、無秩序な金儲けを許すわけにはいかない、だから医療は自由化しない」という理屈である。

 医療技術に関しては、決して中国が日本より劣っているということはなく、国営の総合病院や大学病院の規模はむしろ日本よりはるかに大きいし、先端医療も先進諸国並みの水準と言える。だが、そうした医療施設以外に、患者を診ることができないのが最大の弱点なのだ。

 つまり、症状が軽かろうが重かろうが、すべての患者が、こうした規模の大きな病院に行くしかない。日本でも大学病院の勤務医の激務は問題視されていて、ある調査では、午前中に平均30人の患者を1人の医師が診なければならないそうだ。ところが中国ではその比ではなく、私が数年前に調査をしたところ、午前中に平均300人の患者を1人の医師が診ているのだ。

 もちろん、これではしっかりとした診察など期待できるわけがなく、看護師数人を置いた、流れ作業にならざるを得ない。そんな中、患者も早朝2時から3時に起きて行列に並ぶのが当たり前になっている。私たちから見れば、とんでもない医療状況だと言わざるを得ない。平時でさえギリギリの医療体制で、ちょっとしたことで医療崩壊しやすいのが、中国の医療体制なのだ。

ゼロコロナを誇る中国で、なぜ火葬数が増えるのか

 そうした状況下で、今の日本や欧米各国のような感染者数になってしまったら、どんなことになるだろうか。分かっているからこそ、習近平や共産党政権は、他国のように悠長にウィズ・コロナなどと言っていられない。初期の武漢や今回の上海のように、多少乱暴ではあっても、何が何でもコロナ患者をゼロにする、という政策を打ち出さざるを得ないのだ。

 中国経済、世界経済に対して、「ゼロコロナ政策」が大きなマイナス要因になっていることは間違いない。だが、それ以上に看過できないのは、実際の中国国民の健康状態だ。今は多くのメディアがコロナの患者数や死者数に目を向けがちだ。直近になってさすがに患者数が増えたとはいえ、コロナ禍の2年半で、中国は患者数も死者数も他国と比べれば圧倒的に少なく、習近平は対外的にこの成果を誇ってきた。だが、内実はどうだろうか。

 やはり最近発表された統計調査で非常に気になる結果がある。それは火葬の数を調べたデータで、一例をあげれば、国家統計局が発表した2021年死者数は1014万人だったのに対して、中国民政部が発表した同年の火葬遺体数は1480万人だった。中国では、遺体は原則として火葬しなければならないが、実際の火葬率はそれほど高くない。2020年の両調査で比較すると火葬率は55%程度だった。この統計から推計すれば、2021年の死者数は1014万人ではなく、1480万人でもない。実際は、2690万人に上るという計算になる。

 なぜ死者が急増したのか。コロナ禍との関連死および「ゼロコロナ政策」による死亡も考えられる。例えば、今回の上海のロックダウンでは、都市のあらゆる機能がストップしたが、病院も例外ではなかった。言うまでもなく、世の中には生きていくために病院に通うことが必要な人はたくさん存在する。本当に医療が必要な人たちをないがしろにして、無理やりロックダウンを強行してしまえば、死者が増えるのは必然なのではないだろうか。こうした情報は、中国政府は決して発表しないだろうが。

独裁政治の最大の弱点、それは失敗を認めないこと

 一体どうして、中国ではこんな愚行が許されてしまうのだろうか。私はこういうところにこそ、民主主義か権威主義かの違いが明確に表れるのではないかと思っている。例えば日本の政治家なら、何かをやろうとするときに必ず専門家の意見を参考にする。政治家だけの判断で決めることはない。ところが中国では往々にして、重要な政治判断をする際に、専門家の意見など聞かず、政治家だけの独断で進めてしまう。

 端的な例が、1950年代に毛沢東が進め、数千万人の餓死者を出した大躍進政策だ。権威主義の独裁体制では、どんなに誤った政策であったとしても、絶対権力者の否定になってしまうので、途中で変更することはできない。周囲もイエスマンで固まってしまう。今、ロシアのプーチンはウクライナ侵攻を始めたことを内心、後悔しているのではないかと思うが、そんなことは今さら言うことができないだろう。習近平も同じ状態にあるのではないか。

 これが権威主義の独裁国家の最大の弱点だ。施政者の権威がかかっているため、内心は間違っていたと多くの人間が考えていたとしても止めることができない。四半期の経済がここまで大きく失速したことを受けて、さすがに共産党も行き過ぎたと反省したようで、ようやくコロナによる行動制限を緩和しつつある。だが、秋の党大会で3期目の継続が確実視される習近平が、一度掲げてしまった「ゼロコロナ政策」を撤回することができるのかどうか。

 今、世界では、コロナは完全に終息させることは不可能で、共存せざるを得ない、というのが大方の見方になっている。そんな中、「ゼロコロナ」という愚策を続けることによって、また大規模なロックダウンが実行されてしまったら、そのたびに中国経済、世界経済は大きな影響を受けることになる。そしてもちろん、中国の国民も。

 このまま習近平の独裁政権が続いたとして、権威主義に歯止めが利かなくなり、半世紀以上前の大躍進政策のような中国国民にとっての大惨事につながらないことを切に願いたい。

柯隆

柯隆(か・りゅう) 1963年中国・南京生まれ。88年来日、94年名古屋大学大学院、経済学修士号取得。長銀総研、富士通総研を経て、2008年東京財団政策研究所主席研究員に。中国政治、社会関連の著書多数。「『中国「強国復権」の条件』(慶応義塾大学出版会)が第13回樫山純三賞を受賞、近著は『ネオ・チャイナリスク研究』(2021年、慶応大学出版会)。日本と中国双方の政治、経済に精通したオピニオンに定評。

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