サラリーマンは400万円でアパートを買いなさい…ポイントは「偏った部屋」の設計

 「コンセプト不動産投資を始めよう」と言っても、何から手を付けていいのかわからない人も多いだろう。そこで、一体どんな人が向いていて、手元資金はどの程度用意すればいいのか、またコンセプトはどうやって生み出せばいいのか……。そんな疑問について、不動産投資サポート会社社長の阿部大輔さんが丁寧に解説する。全3回中の3回目。

※本稿は『サラリーマンはコンセプト不動産に投資しなさい』(かんき出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

第1回:なんだこの部屋は…!? お金なくてもOK「1年目から黒字を確保」する”人生逆転”アパート経営の極意
第2回:相場より高い家賃でも入居者が絶えないアパートの秘密…安定したインカムゲインを狙う「コンセプト不動産」

不動産投資に向いているのは “フツーのサラリーマン”

 私たちがご一緒しているアパートオーナーさんの大半は、いわゆる「フツー」の会社員の方です。むしろ「フツー」の会社員の方だからこそ、不動産投資に向いているということを、じつはみなさんあまりご存じありません。

 ふだん聞き慣れない言葉かもしれませんが、不動産投資には「属性」という言葉があります。属性とは、あなたの特徴や性質のこと。不動産投資に関する場合は、次のようなものが条件となります。

  • ①職業
  • ②収入
  • ③資産
  • ④勤務先と勤続年数
  • ⑤借り入れ状況
  • ⑥家族構成
  • ⑦健康状態

 これらの属性が「信用力」となり、融資を左右します。融資する金融機関からすると、「いくらくらい現金を持っていて、どのくらい年収があり、貯金ができているのか」といった点を考慮して、「これなら貸しても大丈夫だろう」と判断するわけです。

 金融機関の目線は、何より収入が安定しているかどうかという点です。だからこそ、「フツー」のサラリーマンを評価するのです。社長だから属性がいいというのは一般的な感覚で、金融機関からすると、貸し付けた資金を事業に転用するかもしれないなどの不安要素があります。同じ理屈で、開業医や院長先生よりも勤務医のほうが有利ということもよくあることです。

 お金(資産)の価値は時間の経過によって変わります。融資が下りる属性であるなら、1年でも早く不動産投資(アパート経営)を始め、時間を味方にすることで、生涯年収が大きく変わります。

 融資を受けられる年収の目安は、金融機関によって異なります。年収600万円以上であれば全国展開しているような金融機関からも融資が受けられたり、地場の銀行、信用金庫などでは年収500万円からでもOKというところもあります。当社のこれまでのケースでは年収400万円の方でも某金融機関において融資が通ったこともあります。

自己資金400万円で資産形成

 不動産投資ともなれば、先立つお金が必要だろう……と思う方もいらっしゃるかと思います。私たちが提供する「コンセプト不動産」を始め、年間利益100万円を手元に残すためには、「自己資金400万円」が、スタートラインとなります。

 逆に言えば、「自己資金400万円」さえあれば、これまでの不動産投資にはない自由度を持って、オーナーとして想いやセンスを反映した楽しめるアパート経営が可能です。

 不動産投資ひとつにしてもさまざまな種類があり、どんなリスクがあるかなど、本を読むなどして調べてから始められる方ほど成功しています。また、もしオーナーになったら「自分の不動産にはどんな人が住むのか、住んでいるのか」を意識し、ホスピタリティを持って取り組める方ほどうまくいく傾向があります。

 たとえば、物件がいまどんな状態になっているか、入居者の方の状況を不動産会社から聞き、指示や改善策を講じられるような方は成功オーナーになれる可能性大です。

 ちなみに、不動産投資に向いていない人とは、どんな人だと思いますか? 不動産投資や経営を行っていく上では、思わぬトラブルの対応や修繕費などでどうしても費用がかかってきます。むしろ、費用をかけることでより物件の価値を上げられるので必要投資は欠かせません。

 ですので、費用が気になり過ぎる人やマイナス面の数字ばかりが気になる方は向いていないように思います。マイナス面を気にし過ぎるあまりにストレスを感じたり、管理会社へクレームや依頼ばかりして、肝心な入居者への対応をする時間をロスしてしまうようではうまくいくものもそういかなくなります。

“経営者” のように入金・出金の動きを考えることができ、少々のトラブルも大局的な視点で判断できるかどうかが大切です。当然、「不動産投資なんて不労所得でしょ」みたいな安易かつ不真面目な気持ちで始めてしまう方もうまくいきません。

長く愛される “ロングセラー商品” を目指す

 では、どうやってコンセプトをつくればいいかについてお話ししましょう。コンセプトを決めるときは、まず具体的な誰かひとりをターゲットに想定し、その人を想像しながら彼・彼女に気に入られるにはどうすればいいか考えてみてください。

 とはいえ、立地に合わない場合もあるので、そこでリサーチが重要になります。立地を優先してコンセプトを立てるか、はたまたコンセプトに合致した立地を探すかという2つの流れになります。

 また、“さじ加減” も重要になります。コンセプトはより尖ったほうがいいですが、あまりに尖り過ぎても入居者が集まらなくなるかもしれない……。ですので、誰かひとりから発想を膨らませていきますが、着地は「一定層のファンが見込めるか」どうかです。発想を一度振り切った上でバランスのとれた答えを探していきます。

 多少の偏りがあるくらいがちょうどいいですし、誰からもいいねと感想を受けるものではなく、“偏愛” されるアパートこそ、「コンセプト不動産」の真骨頂です。

 もう一つのポイントとして、入居者に動いてもらって関わってもらえる余白をつくることが重要です。当社の「カスタマイズプラン」が顕著ですが、他プランでも好きな家具やバイクが置ける、サーフボードが置けるなど、何か一つ入居者が手を加えることで完成するような部屋となれば、入居者たちの愛着が生まれます。ひいては、長く住んでいただける部屋になります。

 コンセプトをつくるときの注意点は、流行に乗ってつくらないことです。流行はすぐに陳腐化します。不動産投資(アパート経営)はあくまで「インカムゲイン重視」。途中に売却するとしても、10年、20年、30年と保有している間の家賃をいかに安定的に得るかを考えるのを優先するのが基本姿勢です。だからこそ、そのときの流行ではなく、賞味期限が長く、表面的ではないコンセプトをつくるのが重要になります。

 そこで、お伝えしたいのが、「ライフスタイル」の提案です。商品を例とするなら、ベストセラーではなく、ロングセラー商品をつくることです。その点、当社がこれまでに手掛けてきた「ネコプラン」なら、猫好きはひとときの流行ではないですし(一説によれば猫と人との付き合いは紀元前からともいわれています)、ほかにもバイクもサーフィンも読書にしても、そのコンセプトは30年どころか100年後も需要のあるライフスタイル提案です。

可能性を秘めたコンセプト不動産

 「コンセプト不動産」は、物件そのものや部屋のつくりという「ハード面」だけではなく、入居者同士の交流など、「ソフト面」でも、他の不動産投資物件にはない特徴や魅力をつくることができます。同じ趣味・嗜好を持つ住人が集まるだけに、入居者同士でのコミュニケーションが、自然に生まれます。

 実際にあった例としては、「ネコプラン」の物件で、共有スペースにブラックボードを置いていたところ、「黒いネコちゃんが迷っていましたよ」と書き込みがあり、その飼い主さんから、「ありがとうございました」とお礼の言葉が返ってきたというコミュニケーションがありました。

 こういった交流は、そこに住んでいる住民の方々が似た価値観を持っているからこそ生まれたのだと思います。「〇〇好きに悪い人はいない」なんていう言葉があるように、同じ趣味・嗜好を持つだけに理解し合える気持ちがあるのだと思います。だからこそ、トラブルやクレームも少ないのかもしれません。入居者同士のほほえましい交流は、オーナーとしては嬉しい限りです。

 「コンセプト不動産」の可能性として、「小さな街づくり」になる点も挙げられます。各コンセプトに共感した入居者が集まり、そこをハブにコミュニティができる、そしてその輪がさらに広がっていく……。物件そのものが小さな街のような存在になり、そこから波及して人が集まることで周辺の環境が変わっていきます。単なる不動産投資にはない可能性が「コンセプト不動産」にはあります。

『サラリーマンはコンセプト不動産に投資しなさい』(かんき出版)

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この記事の著者
阿部大輔

1980年生まれ福岡県出身。2008年に株式会社愛和地所(現、株式会社愛和)に入社、2021年、代表取締役社長に就任。学校法人愛和学園の常務理事、愛和外語学院の学院長も務める。2002~2008年まで引きこもりだったが、株式会社愛和地所に入所後、マーケティングを独学で学び、3年で年商を2倍、5年で年商を3倍に伸ばす。一人でも多くの「あなたらしい人生に、喜びと価値を届けること」をミッションに活動している。

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