相場より高い家賃でも入居者が絶えないアパートの秘密…安定したインカムゲインを狙う「コンセプト不動産」
不動産投資に対しては、一部で「リスクが高いからやめておいた方がいい」との声も上がる。一方、不動産投資サポート会社社長の阿部大輔さんは、不動産投資、特に明確なコンセプトのもとに建てられた「コンセプト不動産」への投資は「リスクが低く、メリットが大きい」と話す。不動産投資を始める前に、知っておくべきポイントとは――。全3回中の2回目。
※本稿は『サラリーマンはコンセプト不動産に投資しなさい』(かんき出版)の一部を抜粋・再編集したものです。
第1回:なんだこの部屋は…!? お金なくてもOK「1年目から黒字を確保」する”人生逆転”アパート経営の極意
第3回:サラリーマンは400万円でアパートを買いなさい…ポイントは「偏った部屋」の設計
手持ち資金がなくてもOK
「不動産投資」について、基本的な知識をお伝えします。よく不動産投資は唯一、他人資本を活用できる投資といわれます。ここでいう他人資本とは、次の2つです。
①金融機関の融資を受けて投資できる
②入居者の家賃によって、融資を返済できる
株式投資や投資信託などは金融機関の融資を受けて行うことはできません。私が不動産業界に足を踏み入れたのは28歳のときでしたが、不動産投資のこの仕組みを初めて知ったとき、世間知らずの私は衝撃を受けました。その驚きを話した友人たちも一様に「そんな話あるわけないでしょ」という反応。お金は働いて稼ぐしかないという考えに凝りかたまっていたのです。
すでに不動産投資以外の投資を行っている方なら、投資の利益には「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2つがあることをご存じかもしれません。不動産投資の場合、インカムゲインは家賃収入、キャピタルゲインは購入価格よりも高く売った際の差益です。
この2つの利益がある中、不動産投資の基本は、いかにインカムゲイン(家賃収入)を安定して得られるかどうかです。しかもそれを「他人資本」を通じてできる点が、他の投資にはない魅力です。
また、価格が秒単位で変わる株などに比べて不動産投資ほど、安定したインカムゲインが見込める投資手法もありません。「コンセプト不動産」であれば、年間のキャッシュフロー(手取り収入)が約100万円になることが見込めるだけにインカムゲイン目的の投資に適しています。
一方で、キャピタルゲイン優先の不動産投資は、投資ではなく投機ともいえます。不動産を転売して〝利ザヤ〞を稼げていたのは主に1980年代後半のバブル期までの話。キャピタルゲイン目的の投資はリスクが大きいですし、いまの時代にはマッチしません。
しかし、インカムゲインを重視し、安定した家賃収入を維持できれば、もしキャピタルゲインを考えたときに売り時のタイミングを焦らず計れますし、あわてて売り損することもありません。 不動産投資の基本は、あくまで「インカムゲイン重視」ということを覚えておけば大きな失敗はないはずです。
不動産投資リスクとその対処法
もちろん不動産投資も投資の一種ですから、リスクはあります。特に抑えておいてもらいたいリスクは、次の3つです。
①保有リスク
不動産を数十年保有することを視野に入れた際、火災、地震などの天災にあってしまうこともありえます。日本は地震大国なので逃れられないリスクともいえます。ですが、これらは各種保険に加入することで軽減できます。
②金利リスク
急激に金利が上がった場合に、返済計画が狂ってしまうというリスクです。借り入れの際の金利に関して「固定金利」「変動金利」のどちらかを選ぶ必要があり、それぞれ一長一短ありますが、当社の場合は多くのオーナーさんが「変動金利」を選択しています。
融資の段階から金利が変わらない固定金利を選ぶとその後、解約できないこともあったり、繰り上げ返済をした際に違約金が生じたりと縛りが厳しい点がデメリットです。それでも固定金利を選びたい方には「1年固定」など更新できるものをお勧めしています。金利が変動することに不安があるかもしれませんが、ここ数十年低金利が続いている点や、金利が上昇しても5年間は返済額が変わらない金融機関もあるため、対策が講じやすいのも「変動金利」のメリットです。
また、たとえ金利の上昇があったとしても悪いことばかりではありません。金利が上がれば、物件価値や家賃収入の向上も期待できます。それにともない売却金額も連動するため、キャピタルゲインを得る機会も出てきます。
③空室リスク
入居者がつかず、手持ちのお金でローン返済を行うリスクです。空室リスクを回避するには、何はともあれ「コンセプト不動産」のように特徴ある物件、ファン(入居者)が集まる物件をつくることに尽きます。また、1室しかない区分マンションであれば、いざ空室になると収入は「ゼロ」となり、即手元資金の〝持ち出し〞ということになりますが、複数の部屋を所有するアパートであれば、他の家賃から捻出することができる点でもリスクヘッジができます。
「団信」「カスタム性」…不動産投資のメリット
不動産投資の大きなメリットとしては「安定的な収入の確保」が挙げられますが、それ以外の大きなメリットの一つに「団体信用生命保険(団信)」があります。団信とは、マイホームなどの不動産を借り入れを受けて購入した方が、万が一亡くなった場合に借入金を残さず、ローンを全額返済できる保険のことです。
この団信が、アパート経営を含めた不動産投資を行う際、マイホーム購入時以上の効果を発揮します。というのは、万が一あなたが亡くなったとき、借り入れのないアパート(もしくは他の不動産)が遺族にそのまま残せるのです。
生前に入居者の方からいただいていた家賃からローンを返済し、利益を得ていたところ、ローン返済がなくなるため、家賃収入から管理手数料などの諸経費のみ引かれるだけで、あとは丸々、毎月決まった額をもたらす「収入源」と「まとまった資産」を残すことができます。
生前には1棟当たり年間130万円のキャッシュフローだったところ、もしあなたが5年目で亡くなった場合、団信による保険によってローン返済がゼロになるため、諸経費を除いた年間511万円のお金を遺族に継続的に残せるようになるのです。
1棟当たりでこの額なので、2棟、3棟と所有した場合、配偶者や子どもたちにどれほどの「収入源を持つ資産」を残せるか容易に計算できます。「いつでも安心して死ぬことができる」と言うと語弊があるかもしれませんが、大切な家族の将来を考えると不動産投資のメリットを感じられる仕組みです。
またもうひとつ特徴的なのが、「オーナー自らが資産価値を上げることができる」点です。私はこれこそ、不動産投資において抑えるべきツボだとも思っています。
株や債券は購入したところで、こちらでできることは売買などに限られ、相場の行く末は市場や企業に任せるしかありません。一方で、不動産投資の場合、リフォームしたり、入居者を集めるにあたって広告を出したり、家賃を変えてみたりと主体的に工夫ができます。これがやりがいにもつながります。
中でも、「コンセプト不動産」であれば、そもそも最初のスタート時点で、どんなアパートをつくるかを決定できます。だからこそ、ただ資産運用がしたいという方ではなく、ご自身の意図を持って差別化できる物件を通じた独自の資産運用を行いたいという方に向いています。
コンセプト不動産でポジティブマインドを手に入れる
一般的な不動産にはない「コンセプト不動産」の魅力をあらためてまとめると、次の3つを挙げることができます。
- ①キャッシュフローが得やすい
- ②オーナーの理想のコンセプトを形にできる
- ③ほかにはない物件なので高い家賃でも入居者が入りやすく、退去されづらい
老後の資金が2000万円不足するという、いわゆる「2000万円問題」の不安を払拭するには、老後の生活を維持できる “収入源” を得ることで解決できます。老後を前に慌てることなく、いますぐにでも「給与以外の収入」を確保する術を講じるべきです。その術として不動産投資、中でも自ら企画・運営ができる「コンセプト不動産」を選択肢に入れてみてください。
自分にしかできない頼られる仕事にやりがいを感じるのと同様、自ら発想したアパートに入居者が集まることは、承認欲求を満たしてくれる上に、働く意欲も生まれます。老後のリスクヘッジというネガティブな話ではなく、ポジティブな気持ちで取り組めるのが「コンセプト不動産」の醍醐味です。