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「Invest in Kishida!」…新しい資本主義の中身

小倉健一
公開)
これは地獄…無能岸田が発した「謎すぎる」メッセージに英・金融街が困惑

5月5日に岸田文雄首相が英・金融街での講演で発言した「Invest in Kishida(岸田に投資を)」が話題を呼んだ。だが、前プレジデント誌編集長でイトモス研究所所長の小倉健一氏は、「唱えては霧消する『岸田語録』は市場から家庭まで混乱を招いている」と辛辣に指摘する。

「Invest in Kishida!」のバカ丸出し

またしても奇天烈な言動が飛び出した。「新しい資本主義」「新時代のリアリズム外交」など新たな標語づくりに躍起となってきた岸田文雄首相。今回飛び出したのは「Invest in Kishida(岸田に投資を!)」だ。首相いわく、日本経済は力強く成長を続けるので是非投資してほしいというのだが、その具体策は語らずで、一部には失笑も漏れる。首相就任から7カ月、唱えては霧消する「岸田語録」は市場から家庭まで混乱を招いている。

大型連休に東南アジアと欧州を歴訪し、5月4日にはバチカンでフランシスコ・ローマ教皇と会談。広島出身議員として注力する「核なき世界」に向けて協力することで一致した岸田首相。翌5日には英ロンドンでロシアへの追加制裁措置を発表し、その姿からは高水準の内閣支持率を維持する宰相として自信をのぞかせる。

この英国で飛び出したのが「Invest in Kishida」だ。5月5日に英金融街・シティーで講演した首相は「私からのメッセージは1つだ。安心して日本に投資をしてほしい」と海外投資家らを前に訴えたのである。

投資を呼びかけるのは何も不思議ではない。2013年9月には「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」という3本の矢によってデフレ脱却を目指す安倍晋三首相が米ニューヨーク証券取引所で「Buy My Abenomics」(アベノミクスは買いだ!)と投資を呼びかけたことがある。最近、安倍氏に指南を受ける場面が目立つ岸田氏はマネをしたのかもしれないが、円高だった当時と円安ドル高基調の今では状況が異なる。日経平均株価も8000円に落ち込んでいた当時に比べ3倍程度に上昇している。

違いと言えば、安倍氏は再起を目指した2012年の自民党総裁選や民主党からの政権奪還に向けた過程で自らの経済政策を繰り返し説明し、好感したマーケットが円安・株高に反応してきた。だが、岸田首相は「新しい資本主義」など標語を打ち出してきたに過ぎない。これまでの標語の具体策を提示しない上、「なぜ日本で先に説明せず、英国で発表したのか」との失望も広がる。

残念なのは、海外の投資を呼び込むとはいいながら、その要が国内向けのメッセージに過ぎないことだ。岸田氏は講演で①人への投資②科学技術・イノベーションへの投資③スタートアップ投資④グリーン、デジタルへの投資―の4本柱を掲げ、「官民連携で新たな資本主義をつくっていく」と語った。これらが岸田政権の看板政策「新しい資本主義」について説明したものとの報道も見られる。

 だが、この「4本柱」がいずれも新味に欠け、具体策にまで踏み込んでいないのは言うまでもない。首相は「新しい資本主義とは何か。一言で言えば、資本主義のバージョンアップだ」と説明したが、経済政策の根幹部分でアベノミクスとの差異は見られない。

政策も頭もスッカラカン! 国民は絶望まっしぐら

岸田カラーを発揮するために矛先が向かったのは、日本人の資産だ。首相は「貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進め、投資による『資産所得倍増』を実現する」と宣言した。昨年9月の自民党総裁選で「令和版・所得倍増計画」を掲げていたが、具体的進展が見られない中でまたも飛び出した「標語政治」に辟易した人も少なくないだろう。

首相は自らの過去の発言は忘れたかのように、10年間で家計金融資産が米国で3倍、英国で2.3倍になっているものの、日本は1.4倍にとどまる点を「大きなポテンシャルがある」と評価。日本の個人金融資産約2000兆円の半分以上が預金・現金で保有されている点を踏まえ、少額投資非課税制度(NISA)の抜本的拡充や資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など政策を総動員し、「資産所得倍増プラン」を進めると表明した。

要するに「所得倍増計画」とは、国民が労働によって得た資金を株式などの投資に回し、運用益などで倍増させるものを意味する。金融庁のホームページにもある通り、「投資」とは利益を見込んで資金を出すことだが、様々なリスクも包含する。「倍増計画」とは、給料を倍にするのではなく、自分でリスクを背負って金融資産を増やせと言っているに過ぎず、資産運用する余裕がある国民とそうではない人々との格差も生じるだろう。

国民民主党の玉木雄一郎代表は5月5日のツイッターで「え、結局そっちに行くの?って感じ。『貯蓄から投資へ』は長年の日本の資本市場の課題なので方向はいいのですが、それを『新しい資本主義』と呼んでいいの?そもそも最初に発表するのが海外でいいの?ちょっと???だらけで困惑中。」と指摘した。

岸田「皆さん投資してください!」(利益は没収します)

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小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact/

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