貯金2000万円で介護破産! 「最後は贅沢したい」と高級ホームで長生きする父に「いつ死ぬの…」

「介護にこんなにもお金がかかるとは思わず、あと少しで介護破産になるところだった…」
最近父親を看取った筆者の友人Aさんがそう漏らした。Aさんは幸い介護破産には至らなかったが、選択を間違えていたら「その可能性も十分あった」と言う。Aさんとは子供の頃からの仲で実家を訪れたこともあるが、お金に困ることはない家庭だと思っていた。一体、介護にはどれくらいのお金が必要なのか。
自営業の父親に最後の贅沢をさせてあげたかった
73歳の時に妻を癌(がん)で亡くしたAさんの父親は、子供たちが巣立った実家で一人暮らしをしていた。オシドリ夫婦という言葉がピッタリだった2人。パートナーを亡くした後、Aさんの父親は、たまに寂しそうな姿を周囲に見せていたというが、大きな病気はしていなかった。毎日、庭で趣味の盆栽の手入れに勤しんでおり、「父はこうして穏やかに余生を過ごしていくのだろう……」などと、Aさんは根拠もなく「安心しきっていた」そうだ。
ところが、78歳の時に、Aさんの父は突然、脳梗塞で倒れた。何とか一命を取り留めたものの、後遺症で手足は動きにくい。食事やトイレは1人でできるが、買い物、風呂、掃除は1人では難しくなってしまった。
Aさんには妹のBさんがいる。共に父親が1人で住む実家から車で15分以内の家に住んでおり、最初の半年間は順番に父親の元を訪れて、風呂や身の回りの世話をしていた。しかし、2人とも次第に仕事との両立に難しさを覚えるようになり、老人ホームに入居させる話が出たが、自分でできることも多い父は要介護1の判定になってしまった。
Aさんらは公的介護保険のサービス費を含めた月々の利用料を8万~15万円に抑えられる特別養護老人ホームを利用したかったが、要介護3以上でないと利用が認められない。そのため、他の方法を考えなければならなくなった。
Aさんの父は、年金は月6万円しか入ってこないが、自営業者ながらもなんとかやりくりして貯めてきた貯金が2000万ほどあった。「ここまで休みなく仕事を頑張ってきて貯金もある。最後に贅沢させてほしい」という父の願いもあり、市内の有料老人ホームのパンフレットを取り寄せて、父が一番気に入ったところに入居させようと決めた。