円安は「絶好のチャンスだ!」経済のプロが大注目する将来「超」有望な激アツ5業界
「超円安時代」が到来する中、給与は足踏みし、物価の上昇は止まらない。そのような状況にあって、経営コンサルタントの小宮一慶さんは、「待ちの姿勢では日本に未来はない。いまこそ国内生産回帰や輸出に力を入れるべきだ」と力を込める。試練を迎えている日本経済の光明はどこにあるのか――。
日米の金利差に注目…4%を超えるとさらに円安が進む可能性も
いまの日本は給与が上がらずに物価だけが上昇しており、いいインフレとは言えません。日銀も同様の認識で、長年掲げていた物価目標2%を達成しても「このまま金融緩和を続ける」と明言。同じようにインフレの状況にありながら、給与も上がり続けている欧米とは状況が異なります。
日本の円安がこのまま進むのか、それとも円高に振れるのか。それを考えるときに私が注目しているのは、短期的には日米の金利差です。アメリカの政策金利が4%を超えてくると、日米金利差を利用した「円キャリートレード」が起こる可能性が高まります。
円キャリートレードとは、金利が低い円建てで資金を借り入れ、その資金を即座にドルなどの金利の高い他国通貨に換えて運用する取引を指します。この円キャリートレードが増加すると、円売りドル買いが進むわけですから、円安がさらに進行します。理論的には3%程度の金利差でも円キャリートレードが起こる可能性はあるとされていますが、もし1日に1、2円程度円高に振れれば利益は簡単に吹っ飛びますから、私の経験則から言っても、やはり4%程度の金利差になってくれば、円キャリートレードが活発になるのではないかと見ています。
一方、アメリカのインフレが抑制され、金利差が4%に拡大しない可能性もまだ少しですがあります。そうすれば円キャリートレードは起こらず、日本の円安も急激には進行しないでしょう。現時点では年内に金利差が4%台に突入する見立てが優勢ですが、断言することはできません。つまり、日本の円安の今後は米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の利上げ幅の決定に左右される部分が大きいと言えるので、11、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で決定される利上げ幅を注視する必要があります。
現状は「異常な円安」ではない
ただし、これはあくまで短期的に見た話。長期的に見れば、しばらく円安基調は続くのではないかと考えています。いまの日本はもともと、経済の足腰(「ファンダメンタルズ」)が弱いのです。それがいま、如実に表れているだけ。1980年代前半に私が東京銀行で駆け出しの為替ディーラーだったころ、1ドルは240円でした。それが85年のプラザ合意後、100円近く一気に円高が進みました。90年代から2000年代にかけてもその傾向は続き、この20年ぐらいは100円を挟んで上下25円ぐらいの為替水準が定着していました。
多くの人はそれが当たり前だと感じていたのですが、いまの日本のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を客観的に見てみると、以前に比べてかなり悪化しています。現状を「異常な円安」と見るのではなく、これが現在の日本の国力だと見た方がいいでしょう。