1ドル146円の恐怖…「年収300万円時代」の日本で始まる”ヤバイ”物価高で「冬が越せない!」
値上げラッシュで「家計防衛」が最大の関心事に
値上げラッシュが止まらない。10月は今年最大の値上げ品目が予定され、対象は食品・飲料だけで6000品目を上回る。民間信用調査会社によれば、2022年の値上げは累計2万品目を超えるという。物価上昇とともに給料もアップすれば問題はないが、日本の平均給与は30年前から上昇していないどころか、30万円も低い。節約を強いられ続ける人々からは「もう年を越せないよ」との悲鳴も漏れる。
いよいよ「ピンチの秋」に突入した。帝国データバンクの調査によると、10月に値上げする食品・飲料はビールやハム、ドレッシングなど6532品目に上る。2022年の価格改定は、加工食品が8530品目で平均値上げ率は16%、調味料は4651品目で15%、酒類・飲料は3814品目で15%、菓子は1295品目で13%に上り、国民生活に打撃を与え続けている。2人以上の世帯では家計負担が年間約7万円も増加する状況だ。
社員10人未満の映像制作会社に勤務する20代女性Aさんは「もう格安スマホに変え、動画配信サービスやサブスクリプションも解約した。外食は控え、ランチは弁当持参。これ以上の節約はできない」と嘆く。
岸田文雄首相は9月30日、「世界経済の減速リスクや物価高騰など経済情勢の変化に切れ目なく対応する」と述べ、総合経済対策の策定を指示した。だが、総務省が発表した8月の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)は前年同月比2.8%の上昇で、消費税率引き上げの影響を除くベースで見れば1991年9月以来30年11カ月ぶりの水準となっている。電気代は21.5%、ガス代は26.4%、食用油は39.3%、輸入牛肉は10.7%も上昇した。物価高騰や電気料金の上昇を受けた経済対策になるにせよ、すでに節約を尽くした人からすれば政府の動きはあまりに遅いと映る。
ソニー生命保険が2022年7月に公表した18歳から69歳の男女を対象にした調査によると、家計防衛のために行っていることは「できるだけ安いお店で買う」(51.9%)がトップで、生活費が不足しそうなときのやりくり方法は「預金・貯金の取り崩し」が40.2%に上った。昨年と比べ支出額を減らしたのは「外食費」(23.4%)、「旅行・レジャー費」(18.4%)、「交際費」(13.8%)と続く。
最近の値上げラッシュで9割近い人が「家計を防衛したい」との思いを抱き、約7割は資産形成の必要性を痛感する。だが、家計防衛で難しいと感じられるのは「収入増加」(34.1%)だ。
世界恐慌到来! このままでは人が死ぬ
9月28日に国税庁が公表した民間給与実態統計調査によれば、2021年の平均給与は443万円(前年比2.4%増)で3年ぶりに増加した。新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいた企業業績が持ち直しつつあることが背景にある。
日本の平均給与(実質)は1992年の472万5000円がピークで、2002年は463万6000円、2012年は427万7000円と下降してきた。「443万円」は2008年に起きたリーマンショック前の水準といえるが、30年前と比べれば30万円も下がっていることになる。