配当年間378万円の投資家「大負けしない株の選び方」注目5銘柄…「アメリカ大統領選ではここに気をつけよ」
本稿で紹介している個別銘柄:ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)、INPEX(1604)、積水ハウス(1928)、カンロ(2216)、DCMホールディングス(3050)、全国保証(7164)
3月4日に史上初めて日経平均株価が4万円を超えた一方で、8月5日には大暴落を経験するなど、2024年のこれまでは波乱の多い相場環境だった。年間配当378万円の名物投資家・長期株式投資氏に、2024年の相場の振り返りと、注目銘柄、株の選び方などについてまとめて聞いたーー。みんかぶプレミアム特集「一人勝ち投資術」第2回。
目次
2024年前半は学びの多い相場だった
ーー日経平均4万円がひとつの基準になったが、投資家としてどんなことが変わったと思うか。新たな学びや気づきはあったか。前半選で失敗したことはあったか。うまくいったことはあったか。
長期株式投資
2024年の前半戦を振り返ると、やはり2月に日経平均株価が史上最高値を更新したことが強く記憶に残っています。リーマンショックでバブル崩壊後の最安値6994円をつけてから15年、ようやく日本株がバブルの呪縛から解放される、株式投資の歴史から見ても象徴的な出来事だったと思います。
その一方で、8月5日には久々に暴落が発生しました。下落率で歴代2位の12.4%、下落幅では過去最大の4451円の下落とインパクトのあるものでした。好調な相場と暴落とを経験ができる、学びの多い相場だと感じています。
2024年の前半戦で特に失敗した投資というものはありませんでした。年初から相場が堅調でしたので、当然と言えば当然と言えるのかもしれません。うまくいった投資は(あくまでも現時点で評価するならばですが)、新NISAの成長投資枠でイギリス株のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(ティッカー:BTI)へ底値付近で大きく投資できたことかと思います(成長投資枠の3/4をBTIで埋めた)。
これまで外国株への投資は、売買手数料の高さや二重課税の課題があり避けていました。ただ、私はSBI証券を利用しているのですが、新NISA枠で投資した場合には米国個別株(ADR含む)の売買手数料が無料となり、また、イギリス株では配当が現地課税されません。売買手数料と二重課税の問題がクリアされたことから、当時は予想PERが6倍台と割安で、予想配当利回りが9%台と超高配当、しかも営業利益は安定しているという条件を満たすBTIへ投資してみようという気になりました。現在は20%程度のプラスとなっています。
アメリカ大統領選に向けて備えておくべきこと
ーーアメリカ大統領選にはどう備えればよいのか。投資初心者などが注意するべき点は。その他、イベント含めて何か気にしていることはあるか。
長期株式投資
個人投資家の立場としては米国の大統領選は特に意識していません。短期的な相場の動きは予測不能と認識しており、どのような状況となったとしても投資を続けられる環境作りをしておくことの方が重要だと考えるためです。
ただ、世の中には様々な考え方が存在しており、例えば、ジェフリー・A・ハーシュ著『アノマリー投資』では、大統領選挙前には景気を良くしようとするため株価には追い風であり、大統領選挙後にはそのツケを払うために株価には向かい風となるというような考察がなされており、一定の合理性もあるので参考にするのもよいかと思います。
また、先日発生したトランプ氏の銃撃事件の後は、あたかもトランプ氏が大統領選挙で勝利することが確定したかのような雰囲気が醸成されました。このように多くの人がトランプ氏の当選は確実と考えているケースでは、実際にそのようになったとしても、関連銘柄は事前に買われて割高となっており、儲けは少なくなります。逆に、そうならなかった場合には期待が剥落して大きな損失を被る可能性も否定できません。想定通りでも儲けが少なく、想定外なら損失は大きい、このような投資はオッズが悪く、旨味はほとんどないと言えるでしょう。旨味のある条件とは、自分の想定通りなら儲けは大きく、想定外でも損は小さいという状況です。一つのシナリオに執着し過ぎるのは避けた方がよいと考えます。