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元三井物産社員、資産数億投資家が「総合商社株を買い続ける理由」利下げ幅とかがどうでもよくなるマネーツリー 

本稿で紹介している個別銘柄:三菱商事(8058)、三井物産(8031)、JT(2914)、日本製鉄(5401)

 FOMCが利下げを発表した後、日経平均株価は上昇基調に転じた。ただし、投資歴23年を誇る高配当株投資家・紫宝氏は、「目先の株価上昇では喜ばない」と話す。乱高下する株価や為替の中で高配当株投資家の取るべきスタンスについて、紫宝氏にうかがった。みんかぶプレミアム特集「億り人の考え方」第6回。

目次

FOMCの利下げ幅は「どうでもいい」

 9月半ばの米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.5%の利下げが発表されました。ただここに至るまで、「利下げ幅が0.25%か0.5%か」で市場は揺れ動き、「0.5%予想」が優勢になったときには、さらなる日米金利差縮小見通しのため一時的に1ドル140円台を切るなど一気に円高が進みました。

 そして結果は「0.5%」の利下げでした。これだけを見れば、一気に円高方向に振れて日本株安が進行してもおかしくありませんでした。ですがパウエル議長が「0.5%の利下げが新しい利下げペースだと認識すべきではない」などと述べたところに市場は反応。後付けですが、「今後それほど急激に利下げが進まない可能性が高い」と判断され、今度は円安が進んだのです。

 米国の経済指標やFOMCの動向に、多くの日本人投資家も振り回されました。ただ正直なところ、高配当株を長期で保有し今もコツコツと買い増している私としては、「0.25%でも0.5%でもどちらでもいい」というのが本音でした。

 長期的に見れば、米国は「利下げ基調にある」「2%物価目標に向けて動いていく」、日本は「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない(日銀副総裁)」としているものの、利上げ基調にある」ということは少し前からわかっていたわけです。つまり、利下げ幅が上記どちらになろうと、少なくとも短中期的には日本株にとってはネガティブ、米国株にとってはポジティブな方向性にあることは何も変わりません。

 特に長期高配当株投資家の私にとっては、米国の利下げ幅が大きくなることで急激な円高・日本株安に動いた場合、割安価格で配当株を買い増せるチャンスです(結果としてはそうなりませんでしたが)。逆に利下げ幅が小さくなることで円安・日本株高になった場合には、正直つまらないという気持ちはあるかもしれませんが、これまで既に大きなポジションを積み上げてきた主力株などの評価益は増えるわけですから、少なくとも悪い気分にはなりません。ですから、「どうでもいい」というのは少々言い過ぎかもしれませんが、少なくとも「どちらでも大丈夫、まったく気にしない」というのが正確な表現でしょうか。

それは“投資”ではなく“投機”かも

 本来、為替の変動など外部要因による短期的な株価の上昇を喜んでもいいのは、「お金が必要になったから近々利確しよう」と思っている人や、株価が1円動くことによるインパクトが非常に大きい、たとえば数億円ほどの株式をすでに持っている人などだと思います。極端に言えば、1株150円のNTT株を100株、1万5000円分だけ持っていても2倍になったところで3万円、1万5000円の利益ですが(すばらしいことですが人生は変わりません)、1億5000万円分持っていれば3億円になります。

 1億5000万円の利益ともなれば普通は人生が大きく変わるでしょうから、売却して含み益を現実の利益にし証券口座から出そうとするのも自然なことでしょう。他にも、一時的なブームなどで「年間配当金数十年分」ほどの含み益が出れば、一部恩株化も含めて利確する人が多いでしょうから、そのような流れで喜ぶ気持ちは分かります。

 あとはもともと短期的な利幅を取ろうと狙っている人も喜ぶでしょうが、これは“投資”ではなく“投機”です。企業の成長を信じて長期間株式を保有し、業績成長に伴って増えていく配当金を再投資することで、さらに増幅させつつ半永久的に不就労所得を得ていくという、本来あるべき姿の“投資”をしているのであれば、基本的に株を売ることはないはずですから、そのための株数を積み上げている最中で起こる多少の株価上昇はどうでもいいはずです。

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この記事の著者
紫宝

米国大学卒業、三井物産出身のダイヤモンドメンタル投資家。2001年に株式投資を開始。現在は「安定配当大型株」を中心に個別株7割(約200銘柄)、インデックス3割の割合で投資。他にもFX、隕石トレード(兼コレクター)、書籍CDせどり、不動産(宅地建物取引士)など、取り扱う範囲は広い。

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