100億円投資家テスタ「SNSは投資家の必須ツールに」トランプ発言を24時間警戒…新NISA2年目投資家に伝えたい「今改めて計算すべきこと」注目2業種は

2024年、株式市場は大きく動いた。日経平均が過去最高を更新したと思えば、過去最高の下げ幅で大暴落もした。今年は一体どんな年になるのだろうか。100億円投資家のテスタ氏は「投資家にとってSNSがますます重要になってくる」と語る。みんかぶプレミアム特集「スーパー投資家の教え」第1回はテスタ氏へのインタビューだ。新NISAで2年目をむかえる投資家たちに伝えたいアドバイスとはーー。
目次
あの値動きを読めた投資家は世界にどれだけいたのでしょうか
――2024年は新NISAが開始しました。日経平均株価は過去最高を更新し、大台の4万円を突破しました。しかし8月には大きく値崩れしました。テスタさんは24年をどう振り返りますか。
本当に乱高下の激しい1年でした。1、2、3月で勢いよく上がり、その後大きく値崩れすることがなかったのに8月5日には1月最初のスタートのところすら割るというのは本当に意外でした。ブラックマンデーを超える過去最大、4451円安という下落幅は、自分にとっては完全な想定外。株投資を始めて20年もたちますが、改めて相場というのはいつ何時でも想定外のことは起こり得るのだと痛感させられました。あとからあの暴落を振り返ってみてもそれほど下がる理由も見当たりません。実際すぐに株価は戻ったわけですし。
あの値動きを読めた投資家は世界にどれだけいたのでしょうか。そういうことを踏まえても「未来の相場の動きは読みようがないんじゃないか」という持論を私は持っています。
相場自体は成熟しているのに、なぜ大暴落…
――これまで投資家人生を振り返っても、値動きの激しさは増していると感じますか。
株価はパーセントによる動きが大きいので、日経平均が上がれば上がるほど1日の値動きは大きくなります。24年は1日で1000円プラス、もしくは1000円マイナスというのを何度もみましたが、それこそ日経平均が1万円台だった時代に1000円も下げたら大騒ぎになっていたはずです。なので、もうこの激しい値動きが日常になっていると感じます。
相場自体は成熟してきていると思っています。少なくともバブルの時代から比べて、全体がとんでもないようなPERを出していることもないですし、ちゃんと経済状況に沿った範囲内での時価総額に落ち着いていっている。これは投資家一人一人が分析や冷静な判断ができるようになってきた証拠なのでしょう。しかしそういった成熟しつつある株式市場でも、8月5日のようなことがまだ起きることにびっくりしました。そして「まだまだ相場とは不安定なものだ」と学びになりました。色んな意味で歴史的な1年であったと思います。
トランプの唐突な発言をイレギュラーだとは捉えてはいけない
――暴落のきっかけの一つとなったのが7月31日に日本銀行が政策金利を+0.25%程度まで引き上げる”サプライズ”追加利上げの実施でした。今後キーパーソンの発言などに投資家は細心の注意を払うべきでしょうか。
24年はドナルド・トランプさんが再び大統領に返り咲くことが決まりました。トランプさんはSNSで重大なことを発言する人です。もうそれが当たり前の世の中になっています。SNSの力が更に大きくなってきているとは感じます。
トランプさんの一期目でも突然発言をして市場は混乱したこともありましたが、そういったことも踏まえてトランプさんは再選したということです。国民の信頼はそれだけ厚いとういことを尊重しなくてはいけないと思います。
なのでこれからはトランプさんの唐突の発言をイレギュラーだとは捉えてはいけません。時代はそういう風に変わっているので、今は大統領のSNS投稿一つでどれだけトレンドが向いていても逆転する可能性がある。もはやSNSは投資家にとって外せないツールです。
SNSというトレンドに逆らってはいけない
――投資から話はそれますが、SNSの威力という意味では選挙にも影響がありました。
東京都知事選も兵庫県知事選もテレビや新聞といったメディアとSNSの差は感じました。都知事選の時、テレビを見ている感じでは石丸伸二氏があそこまで票数を集めているということも、蓮舫氏が圧倒的2位になれないということも見えてきませんでした。兵庫県知事選も10年くらい前であれば前職の斎藤元彦知事が負けて当然だったようにも思えました。
テレビや新聞を若い人がみないのに対して、SNSを利用する若者は年々増えています。今後もSNSを使う人口は増えていくので、SNSの力が今後も強くなっていくのは仕方がないことだと思うのです。これが当たり前の世の中になっていくと。
いうならばSNSから情報を入手するというのは大きなトレンドの一つだと思っています。投資に関しては銘柄情報や取引の仕方などもSNSから入手していくというトレンドが今後も続いていくはずだし、もっともっと広がっていく可能性のが高いと思います。このトレンドに逆らい続けるのは得策ではありません。
SNS投資詐欺、メディアにも伝える側の責任がある
――SNSからの情報収集が今後投資家として必要なスキルになってくるのですね。逆にSNSと投資を結びつける上での注意点はありますか。
一番は投資詐欺です。悲しいことに今もSNSには詐欺へと誘引する投稿に溢れています。僕の偽物であったり、僕の知らない投資家のことを「僕が認めた」ということにされていたり。そういうものに騙されない最低限のメディアリテラシーは投資をやる前に必要なのでしょう。
ネットだけ見ているとネットだけが全て正しくテレビが全て間違っているように見えてしまう感覚があります。逆にテレビだけを見ているとネットは全て間違っているような錯覚を覚えます。ただテレビ・新聞だけの世代は入手していた情報にある程度の正確性が担保されていました。それがSNSだと「そういうわけでもない」ということは理解しておくべきだと思います。嘘に惑わされないためにその情報の発信者はどんな人なのか、どんな組織なのかを見ていく必要があります。
またメディアにも伝える側の責任があると思っています。業界全体で詐欺投稿に関する警告を発したり対策を講じたりしていかないと、ネット始めたばかり、株を始めたばかりの人が狙われる一方です。継続して警鐘をならしていく必要があると思います。
なぜ累計利益の公開を辞めたのか
――24年の個人成績はいかがでしたか。
24年2月に累計利益が100億円を突破しました。しかしそこで自分の累計利益を公開することを辞めました。70億とか80億くらいの時から公開するメリットよりデメリットの方が大きくなってしまったのです。このお金の額を見て不快に思う人が多くなってしまったようです。例えば「自慢を辞めろ」とか。
僕はもともと専業になった初日から「今日は〇千円のプラス」と日記のように取引成績を公開していました。僕にとって大事なことはリスクを抑えてコツコツトレードすることであり、それを20年間公開してきたからこそ20年連続で年間投資成績がプラスだったと思っています。
ただ、僕が数千円勝って喜んでいた時代から見ていた人は何も感じないかもしれませんが、最近見始めた人にとっては色々思うことがあるみたいで。なので今後は年間でプラスだったことだけは発信していくつもりです。来年以降も年間プラスで終えることを1番の目標にしてやっていこうと思っています。
――ちなみに24年は年間プラスで終えられましたか。
はい。8月で何億か負けることもありましたが、1~3月で過去最高を更新したこともあり、年間でマイナスに陥る場面はありませんでした。