東芝、オムロン、資生堂…リストラ連鎖が止まらない!「御社も危ない」黒字リストラ、2つの予兆を見逃すな「新卒社員の給料増は黄色信号」

インフレ環境下で大企業を中心に賃上げが始まっている。多くの労働者にとってはうれしいニュースだが、実はポジティブな面ばかりではない。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は「賃上げと同時にリストラを実施する企業も出てきている」という。どういうことかーー。みんかぶプレミアム特集「資本主義の終わり」第二回。
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インフレ環境下で企業を苦しめている賃上げ圧力
トランプ政権の関税強化による輸出産業低迷への懸念、国内では日銀の利上げによる金融引き締めや物価高による消費の抑制など日本経済の不透明さが増している。
さらに企業を苦しめているのが賃上げ圧力だ。人手不足による人材獲得競争が激しくなり、初任給が高騰。大手企業は30万円時代に突入し、それに追随しようとする中堅・中小企業も含めて消耗戦の様相を呈している。政府も経団連や労働組合の連合と足並みを揃えて物価を上回る賃上げを要求し、賃上げ圧力が年々高まっている。
すでに春闘交渉前に前年比7~8%の賃上げを表明する企業も相次いでいるが、ただし社員全員の賃上げを実施すれば当然ながら人件費は増大し、経営を圧迫する。
大企業が続々と黒字リストラを進めている理由
今、企業が取り組んでいるのがビジネスの再起動を目指した事業構造改革と並行した人事・賃金制度改革や“人材の入れ替え”によるリストラの推進だ。上場企業の早期・希望退職者募集が2024年は1万人を超えた(東京商工リサーチ)。しかも直近決算の黒字企業が約6割を占めている。
東芝、オムロン、資生堂、コニカミノルタ、シャープ、リコー、富士通、ワコール、武田薬品工業、第一生命など大手が大量の人員を削減している。また今年に入っても日産自動車がグローバルで9000人の削減を表明しているほか、ウシオ電機、ユーグレナなどの企業が人員削減を公表している。
今後の行方について東京商工リサーチは「経営環境が不透明さを増し、将来を見据えた構造改革に着手する企業が増えており、2025年も上場企業の早期・希望退職の募集が加速する可能性が高い」としている。