マジメで勉強熱心な人ほど騙されやすい?著名弁護士が教える!狙われている「投資詐欺」のターゲット

「久々に実家に帰ったら、親が怪しい投資商品を買っていた」
「退職金を投資で失ったと言われ、金銭援助を求められた」
定年退職後の親が気づいたら投資詐欺に引っかかっている、騙されているのに気づかずに大金を注ぎ込んでいる。そんなケースが後を絶たない。
「現在の高齢者はお金も持っているし、個人情報保護法の施行前に作られた名簿が流出している。詐欺グループにとって格好の餌食です」
そう語るのは、数々の社会事件・詐欺事件に携わってきた紀藤正樹弁護士だ。
「高齢者を狙った投資被害の平均被害額は約500万円。一度騙されれば、老後資金はあっという間に消えてしまいます」
長年の経験から見えてきた投資詐欺の実態と、親の資産を守るために子世代が知っておくべきポイントとは。全3回の第2回。
目次
教養とプライドがある人ほど・・・
投資詐欺の被害者は、決して無知な人ばかりではありません。むしろ、真面目で勉強熱心な人ほど騙されやすいのです。
現役時代は熱心に仕事に打ち込み、老後も毎日経済ニュースや政治情勢をチェックしている。「自分は世の中の動きを理解している」というある程度の教養とプライドがある人ほど、詐欺グループの格好のターゲットになります。
こういう人たちは知的好奇心が強く、「社会の仕組みをもっと知りたい」「周囲が知らないことを自分だけが知っている状態が気持ちいい」という感情を持っています。詐欺グループは彼らの知識欲をくすぐる形で、「あなただけに新しい投資の提案を」「一般には出回っていない話なのですが」と言って近寄ってきます。
危険な「自分は選ばれた」という錯覚
特別扱いされて「自分は選ばれた」という優越感を持ってしまうと、家族の忠告も専門家の助言も耳に入りません。
むしろ「何も知らないのに邪魔される」と感じてしまう。真面目に考え、真面目に行動したからこそ、引き返せなくなるのです。
私も詐欺被害者を助けようとした際に「先生はわかっていない。投資というのはそういうものじゃない」と反論され、聞く耳を持ってもらえないことが何度もありました。
また、投資詐欺でよく使われる謳い文句が「現物があるから安心」というフレーズです。株式のような「目に見えない、よく分からないもの」に比べ、実際に手にとって触ることができるゴールドや牧場にいる和牛、開発が進む不動産のほうが、価値が担保されているように感じてしまうのです。
しかし実際には、上場企業が倒産することはほとんどありません。上場企業は監査法人のチェックを受け、経営の透明性が担保されています。株式であれば、企業の財務状況は定期的に開示され、不正があれば監査法人や証券取引所がチェックします。株価が下がったとしても、会社が存続している限りゼロになることは稀です。