「どういう投資なの?」親の詐欺被害を防ぐ!著名弁護士が教える「家族ができること」

「久々に実家に帰ったら、親が怪しい投資商品を買っていた」
「退職金を投資で失ったと言われ、金銭援助を求められた」
定年退職後の親が気づいたら投資詐欺に引っかかっている、騙されているのに気づかずに大金を注ぎ込んでいる。そんなケースが後を絶たない。
「現在の高齢者はお金も持っているし、個人情報保護法の施行前に作られた名簿が流出している。詐欺グループにとって格好の餌食です」
そう語るのは、数々の社会事件・詐欺事件に携わってきた紀藤正樹弁護士だ。
「高齢者を狙った投資被害の平均被害額は約500万円。一度騙されれば、老後資金はあっという間に消えてしまいます」
長年の経験から見えてきた投資詐欺の実態と、親の資産を守るために子世代が知っておくべきポイントとは。全3回の最終回。
目次
投資額が徐々に増えていく仕組み
投資詐欺で恐ろしいのは、被害額が雪だるま式に膨らんでいくことです。
最初から何千万円も投資する人はほとんどいません。多くの詐欺グループは、まず50万円や100万円といった「試しに出せる金額」から始めます。
「最初は100万円だけ投資してみませんか。様子を見てから判断してください」ーーこう言われれば、警戒心を持っていた人でも「それくらいなら」と考えてしまいます。
そして半年後、110万円が戻ってきます。「10万円の利益が出た」この成功体験が、次の罠への入り口です。
「10万円儲かるなら、次はもっと増やそう」と考えるのは自然な流れです。今度は300万円を投資する。さらに半年後、330万円になって戻ってくる。この時点で、多くの人は「これは本物だ」と確信します。そして次は400万円、500万円と投資額を増やしていくのです。
実際には、最初に配当として受け取った利益は「事業の儲けから払われた配当」ではありません。もっと投資額を大きくしてもらうための「詐欺の先行投資」のようなものです。
多くの被害者はそれに気づかず「せっかく利益が出ているのだから、どんどん投資しよう」とお金を投じてしまいます。気づいた時には、投資額は数千万円に達している。被害者本人も「成功体験」を重ねることで警戒心が薄れ、どんどん深みにはまっていくのです。