グローバル時代を生き抜くための金融リテラシーとは?外資系金融ママが伝える「お金を増やすために大切なこと」とは

バークレー大学を卒業後、外資系金融機関で勤務し、現在は会員制オンラインコミュニティ「Holland Village Members’ Club」を主宰する河村真木子氏。河村氏が「世界の共通言語」だと話す、金融リテラシーの鍛え方について語る。全3回中の最終回。
※本稿は河村真木子著『自由にあきらめずに生きる 外資系金融ママがわが子へ伝えたい 人生とお金の本質』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から抜粋・再構成したものです。
第1回:日本人の投資下手には理由があった!「貯金信仰」が生まれた3つの理由
第2回:人生の中心に自分を置こう!外資系金融ママ「ママ自身もわがままになることが大事」
目次
世界のあらゆる動きは経済と連動
お金を増やすために大切なことがあります。まずはその一つ、グローバル時代を生き抜くための金融リテラシーについて述べたいと思います。
お金の教育が圧倒的に足りていない日本は、特に家庭で教えてあげる必要があると考えています。私が2025年から学生向けの「金融経済アカデミー」を立ち上げたのは、高校生や大学生の時期にこそ、金融経済の基礎知識をしっかりと身につけるべきだと考えたためです。
いずれはオンラインとオフラインを組み合わせることで、日本全国に自習室のような学習スペースを設けて、参加者同士が知り合える場を作る。それが実現すれば、学校・家庭・地域とは異なる、新しいコミュニティを提供することになるでしょう。
1人でも多く、金融リテラシーを備えた若い人を増やしたいと願っています。
なぜそこまで力を入れるのか。それは、金融リテラシーは、世界の「共通言語」であり、さまざまなジャンルにアクセスするチケットになるから、です。世界で起こるあらゆることは、経済と連動しています。
例として、2022年に起きたロシアによるウクライナ侵攻を見てみましょう。戦争が引き金となって、原油価格や天然ガス価格が暴騰。石油・ガスだけでなく、OECD諸国のエネルギー価格自体が平均で9%上昇しました。
ヨーロッパでは、いち早く原発を廃止したドイツなど、ロシアの天然ガスに頼っていた国が多くありました。それが絶たれたのですから、ガス価格は230%以上、電力価格は138%〜237%も上昇。「寒くて冬が越せない!」と、人々の日常生活を直撃したのです。
そしてウクライナもロシアも、世界有数の穀物輸出国。小麦やトウモロコシの価格が急上昇して、世界の食糧の安全保障が脅かされました。食品の値上げは低収入の家庭ほど影響するので、開発途上国では生活負担が大きくなります。
金融市場でもリスク回避の動きが強まり、株式市場は不安定になりました。
ヨーロッパでは、戦争による輸送ネットワークの混乱やエネルギー高騰で「あれもこれも値上がり状態」。原価がかさんでビジネスの負担となり、企業倒産リスクが上昇。利益圧迫や債務不履行の可能性が高まりました。
OECDが定義する「金融リテラシー」
この戦争はすでに進行中だったインフレ、貧困、食料不安、脱グローバル化などのマイナススパイラルをさらに加速させたと言われています。戦争が終結したとしても、これからの世界経済に影響を残すという意見が多いようです。
このように、世界に起こるさまざまな出来事がトリガーとなり、経済に良い影響や悪い影響を及ぼします。
■戦争
■疫病(コロナのようなパンデミック)
■資源
■気候変動・災害
■技術革新
■政策(通貨・貿易ルール変更など)
もちろんバブル崩壊・金融危機など金融業界の出来事自体が、世界経済に影響を与えることもあります。
より深く理解するのであれば学術的研究や専門のシンクタンクの分析を見てほしいのですが、まずはこの全体像を把握しておくと、「お金の知識」になるばかりか、「世界を理解する力」が身につきます。
OECDの定義によると、「金融リテラシー」とは、次のようになります。
知識+スキル+態度+意識+行動=金融リテラシー
つまり、金融に関する知識をもち、理解し、それを基盤に効果的な意思決定を行うためのスキル、モチベーション、自信、そして行動なのです。
お金持ちになるためにも金融リテラシーは必須ですが、金融リテラシーがあれば、世界で働けます。自分の人生で自分らしい選択をしていくためにも必須な力を、ぜひ子どもと共に身につけていきましょう。
国家も企業も投資をしている
私は「外資系金融機関の営業をしていた」とお話ししました。 もちろんそのとおりで嘘偽りのないことですが、最終的に証券部門で部門MD(Managing Director)になりました。
投資会社が営業をかけるのは、巨額の投資をする超富裕層もありますが、メインはこちらも超がつく国内外の大手企業です。中小企業やそこそこ大きな投資家がお客様だったのは若かりし頃の普通の営業だったときで、後半にMDになって専用ドライバーの車で回っていた頃のお客様は、もっぱらグローバル展開している大手企業のCFOやCEOでした。
企業はモノを作るだけでなく、さまざまな投資をしていますし、今は会社を成長させるために、会社を買収することもよくあります。
国家からして投資をしているのですから、企業も金融投資をしています。
そういうお客様が「最近株価が下がって、海外投資家がうちの株を売却してしまいそうだ」とか、「デジタル部門を強化したいから、ベンチャーのあの会社を買収したいんだけど」などと言い出す前に、世の中の流れを読み、相手のニーズを汲み取って、的確な戦略をこちらから先回りして提案するのです。
あるいは、余剰資金を何倍にも増やせるような、新たな投資先や金融商品を紹介する……。詳しいことは守秘義務があるので書きませんが、一般的に言ってこれが外資系投資銀行の「営業の仕事」なので、私にとって金融リテラシーとは「毎日学び続けないと仕事にならないもの」でした。
金融リテラシーをどう養うかなどのノウハウについては、それぞれのやり方で書籍やウェブ、セミナー、人間関係のなかから学んでいってほしいと思います。
ただ、たった一つだけ、私が今も続けていて、しかも誰でもできる金融リテラシーのインプット法をここでお伝えしておきます。
まずは日経新聞から始めよう
私の毎朝のルーティンはいまだに、ブルームバーグ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ジャーナル、ロイターを読むことです。
日本経済新聞も併せて見ておくので、国内外の経済情報を幅広くカバーすることができます。最近は香港の南華早報にも目を通すようになりました。私は20年前からこのルーティンを始め、最初は気になる記事をすべて精読していたのですが、やがて自分なりの方法を編み出しました。
海外の金融ニュースをちゃんと読み込んでいくと、いろんなキーワードが出てきます。それを一つ一つ調べ、解説できるレベルにして自分のものにしていく。すると、次に読んだときは、そのキーワードがわかります。
その繰り返しで読むたびに「これは知ってる。これはよくわかる」というように、理解のスピードが上がっていきます。
これを20年間継続してきたので、今では一つ一つの記事を精読する必要はなくなりました。サラッと流し読みでも、重要な情報をピックアップできるようになったのです。
こうして毎朝得た金融や世界の情報を、わかりやすくしてオンラインコミュニティで伝えているのは、かつてお客様に「今日の香港マーケットは……」などと手短にお話ししていた延長のような気がします。役に立つことを必要な人にシェアして喜んでもらう、それが理屈抜きに好きなのでしょう。
みんながみんな、海外の経済紙を何紙もすみずみまで読む必要はありませんし、時間的にも厳しいと思います。また、専門的でやや難易度が高いのも事実です。
まずは一紙、英語版のロイターを読んでみると相当な金融リテラシーが身につきます。それも難しければ、日経新聞だけでも読んでみるといいでしょう。
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