旧村上ファンド・村上と光通信・重田が奇跡のタッグ…奇襲の危機に陥る日本のバリュー銘柄【東亜石油、伊勢化学、ユタカフーズの現状は】
企業の株を大量に保有し、株主総会などで企業の経営方針を問いただすアクティビストたち。「物言う株主」として、日本ではネガティブな視点で捉えられがちだが、その姿も変わりつつあるという。株式投資のカリスマ・木戸次郎氏が、アクティビストによって生まれ変わる株式市場とそこで生まれる「宝の山」について解説する。
2023年、企業と建設的な対話を始めたアクティビストたち
現在、日本におけるアクティビズムはまだまだ成功とはいえないレベルにある。だからこそ、2023年はアクティビズムこそが「宝の山」になりうるのではないかと考えている。
2022年まで、アクティビストがターゲット企業に対して要求していたのは主に二つのことだった。一つはバランスシートに基づいて遊休資産などの積極活用を促し、積み上がって手つかずになっている利益剰余金などを、株主への増配や自社株買いなど何らかの形で還元すること。もう一つは親子上場の支配株主に対して親子上場解消を求めることだ。
アクティビストといっても株主還元・ガバナンス改善を求めるオアシス・マネジメント(香港)やストラテジックキャピタル(日本)、エリオット・マネジメント(米国)のようなアグレッシブなものから、持ち合い解消、資本政策の見直し、事業再編、IRの改善、役員選任などが中心のマイルドなものまで数多く存在している。
だが、ひと昔前と違うのは、最近のアクティビストたちは、以前のように無理難題の株主提案をするのではなく、建設的な提案をすることが多くなってきている。どのファンドも企業の調査などには数億円単位の予算をかけているというし、それだけ世界のアクティビストたちが日本の市場に対して真剣に向き合って調査・分析し、本格的に参入してきている証だ。だから、各企業の経営陣の怠慢や迷妄、スキャンダル、財務面でのスクリーニング、役員報酬や人事に至るまで全て調査したうえで、企業との建設的な対話(エンゲージメント)を求めてくるのである。