6500万円の湾岸タワマンを頭金ゼロで購入した自称パワーカップルの末路…安定しない老後に不安を覚える商社幹部「人生が狂った」

価格高騰が続き「勝ち組」の象徴ともいわれるタワーマンション(タワマン)の住人たちはまさに十人十色だ。こんなものかとオールキャッシュで購入する猛者がいると思えば、老後までローン返済を続けるサラリーマンの悲哀も漂う。とはいえ、事情を知らない人から見れば、資産価値が上昇する物件の購入者は憧れの的であるのは間違いない。はたして、タワマンは本当に「勝者の証し」なのか。経済アナリストの佐藤健太氏は「転勤や転職、離婚などで手放す人も多い。タワマンは『敗者の証し』にもなり得るので計画的な購入を」と警鐘を鳴らす。
湾岸の先住民となった大阪出身の鈴木さん
「あんた、何やってんの。破産するよ!」。東京23区内の新築マンション価格が高騰を続け、1億円の大台に迫るとのニュースに気を良くしていた鈴木靖一さん(仮名)は今春、大阪に住む母親からの電話で久しぶりに叱られた。
2008年のリーマン・ショックで金融危機が叫ばれていた頃、鈴木さんは東京の湾岸エリアに完成したタワマンを購入。妻・理子さんが希望した通り、湾岸の “先住民” となった。不動産価格が下落局面にある当時に購入を決断したことは良かったとも思えるのだが、鈴木さんが今悩んでいるのは、重くのしかかる住宅ローンの問題だ。
ダブルインカムで「頭金ゼロ」購入。が、しかし…
高校まで大阪で暮らし、東京の有名私立大を経て商社マンとなった鈴木さんの年収は1000万円超で、外資系コンピューター関連サービスで働く理子さんと合コンで知り合った。妻の稼ぎも同レベルというハイスペック夫婦だ。