「年収1500万あるし、株価マジどうでもいい」バフェット注目の”日本一の勝ち組”、財閥系総合商社社員の本音
ウォーレン・バフェットの来日から1カ月が過ぎた。先日開催されたバークシャー・ハサウェイ年次総会でも日本株に言及したこともあり、投資の神様の次の一手にますます注目と期待が集まっている。世界中の投資家の畏怖と尊敬を集める超大物が突然、日本を訪れたことの意味するところは? みんかぶプレミアム特集「バフェット 独占質問」第6回では、“W. バフェット現象” が、株式マーケットなど日本に与えた、そして今後与えるかもしれない影響について探る。
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「バフェットとかどうでもいい」総合商社の高年収社員
バフェットによって世界の投資家から注目を一気に集めた総合商社。しかし「そもそも誰が社長をやってもうまくいくから、バフェットは買った」と指摘する声もある。
高年収でも知られる総合商社の社員は、日本では「勝ち組」と羨望の眼差しを向けられることも多い。ただし、その好待遇が故に「これ以上のキャリアアップは日本では厳しい」とされる。アップ・オア・アウトの外資系とはまた違った文化のため、やる気を失っても、とくに会社から出ていかない窓際社員も各社抱えている。なかには年収2000万円を超す社員もいることから “Windows2000” などとネットでは揶揄(やゆ)される。
「株価とかどうでもいいです」
そう語るのは、財閥系総合商社の中年社員だ。大学ではろくに勉強もせず、体育会系の部活に励み、総合商社の内定を勝ち取った。入社後、若手の頃は毎日酒を飲んだ。取引先と3時まで、社員寮で同期たちと……。一方で、大学までの部活の練習があまりに厳しかった反動で、運動することは一切なく、ぶくぶくと体は太っていった。
だが体重計の数値は上がっても、人事査定はなかなか上がらなかった。気合と根性だけで取引先に体当たりできるのは20代までで、30代になれば「臨機応変力」「頭の回転の早さ」「入念な根回し」などが求められる。が、どうにも上手くいかなかった。そんな自分のふがいなさから、飲酒量はさらに増えていった。
「今では毎日、出社してネットサーフィンしています」
女性社員から「臭い」とクレームがくるようになったのは、体重が3ケタをこえる手前の時。仕事もできない臭い中年社員に対し、仕事もだんだん振られなくなってきた。気が付けば会社のお荷物になっていたが、だんだん悔しさも消えていった。そして40歳を超え、今さら自分を変えようとも思えなくなった。
「だって僕、年収1500万円ですからね。あえて頑張って転職して年収を下げる意味なんてないですよ。バフェットが株を買ったと聞いても、僕には関係ない話です。JTC(ネットスラング:ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニーの略)なので大丈夫だとは思っていますが、”生産性が低い社員をレイオフするか、リスキリングさせよ” とか、(バフェットが)余計なことを言い出さなければいいなって思います」
バフェット来日1カ月。いまだ余波が収まらない、日本の株式マーケット
さて、バフェットの来日から1カ月経ったいまでも、新聞、雑誌、ネットメディアでは「バフェットが次に投資する日本株」といったテーマの企画記事を発信し続けているし、“投資の神様” 来日の余波はまだ収まっていない。日本株全体を見ても、日経平均が3万円を超え、バフェット来日前から株価は水準を一段切り上げているし、少なくとも、3月までとは違った明るい雰囲気に、市場のムードが変わってきたことは確かだろう。英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は5月8日、世界に向けて「日本に注目する専門家たちは、ウォーレン・バフェットが次にどの日本株を買おうとしているのかを予想するゲームに熱を上げている」と報じた。