「社員への告知は金曜午後3時」ライブドアで部下30人をリストラした男が語る「リストラで狙われやすい人、リストラされない人」
ビジネスパーソンとして、LINEやZOZOなど、さまざまな先進的企業で活躍してきた田端信太郎氏。実は同氏は、ライブドアに在籍していた際に、リストラ担当者を経験したことがあるという。みんかぶプレミアム特集「リストラ連鎖」第5弾は、どのようにリストラが進んでいくのか、具体的なプロセスと、それを事前に知るためのコツについて聞いた――。
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田端氏がリストラ該当者を決めた方程式
かつて私は、ライブドア・ショック直後にライブドアニュースの責任者の職に就いていました。ショック後、株価は大暴落し、株主から厳しい視線が向けられていたんです。
当時のライブドアでは、ほかにもさまざまな事業があったものの、ライブドアニュースが一番の赤字部門でした。融資を受けたり増資できたりすればよかったのですが、それもなかなかできない状況で、会社から出ていくお金を減らさなければゆくゆく倒産してしまう可能性がありました。
そんな状況で、とにかく出ていくお金を減らすために、泣く泣く、ライブドアニュースのオリジナル記事担当の記者の方々約30人をリストラする、という決断を下しました。
当時、ライブドアニュースにかかっている費用のうち、3〜4割が記者の人件費だったんです。記者の人たちがいなくなることで、収益も確かに減る可能性はありましたが、3〜4割のコストが減れば、トータルで黒字に近づきます。難しい話ではありません。算数の話です。逆に営業マンのような人をリストラすると、売り上げはもっと下がってしまいます。そんな状況下で、ニュース担当記者をリストラする、という決断をせざるを得ませんでした。
具体的に、リストラのプロセスはどう進んでいくか
典型的なパターンだと、リストラを実施する旨の発表は、金曜日の15〜16時ごろに部署の人員を全員集めて実施されます。1人ずつ伝達したところで、すぐに噂が広まってしまってみんながパニックになってしまうため、最初は集めて発表するのです。
次の週から個別面談に入ります。私がリストラしたときは「あなたは引き続きライブドア社員として在籍し続けることもできますが、独自の報道部門がなくなるので、記者として在籍し続けることはできません。他の部門に異動して、営業などの職種に就くことができますか。あなたは記者としての専門性を評価されて入社したわけですから、他部門に異動した際には待遇がそのまま保証されるかどうかもわかりません」といった具合のことをみなさんに告げていきました。
リストラのプロセス全体は、専門のコンサルティング会社に相談し、慎重に進めていきました。リストラの告知をするまで、計画全体を練るのに1〜2カ月、発表してから退職同意書を集め終わるまでは2週間ほど、最後の1人を説得するのに1カ月くらいで、2〜3カ月ほどで終わります。それでも、最近、イーロン・マスクがTwitter社員を突然リストラしましたが、あのように突然リストラされることは珍しいです。
リストラ準備が進んでいることに気づくたった1つのキーワード
大企業の場合「これから半年は、今の仕事をしなくてもいいです。その間の給与も払うし、割増退職金も給与半年分払います。その代わり、その間に転職活動してください」と言われて、転職活動を促されることもあります。