痛い、クマが私のお腹を引き裂いてるの…「地獄のような痛みと恐怖」ムツゴロウさんが知った凶暴ヒグマ、唯一の弱点
農林水産省が発表した2021年度「全国の野生鳥獣による農作物被害状況」によるとクマによる農作物への被害は4億3800万円だった。クマと人間が共存する方法はあるのか。作家の小倉健一氏が解説する――。
腹を空かせたクマや子供連れのメスグマの恐怖
北海道幌加内町の朱鞠内湖東部で、5月14日午前5時半ごろ、1人でイトウ釣りをしていたアルバイト男性が行方不明になった。男性は渡し船で釣りのスポットに移動した後の出来事で、男性を迎えに行った渡し船の従業員が釣り場付近で、(釣りでよく着用する)胴長靴をくわえたヒグマを発見した。翌日には、男性の遺体が発見され、地元のハンターがヒグマを殺した。北海道警察は、男性がクマに襲われて死亡したと発表した。警察によると、行方不明になった男性が釣りをしていた湖北東部の入り江付近で、覆うようにかぶせられた草木の下から胴体とみられる遺体の一部が見つかったものの、損傷が激しく、射殺されたヒグマの胃袋には約9キロの内容物があり、肉片や骨片も混ざっていたという。
湖付近は、クマの生息地として知られるが、これまで人身被害の記録はなかったのだという。しかし、毎日新聞(5月25日)の報道によれば、【一方、事故の約1週間前から不穏な前兆があった。ナマコ沢付近で5月9日に人を恐れない様子のクマが目撃されている。音を出すなどの威嚇をしても逃げ出さない「特殊な性質」だったという。地元の警戒感は高まり、朱鞠内湖のウェブサイトで釣り人に注意を呼びかけていた】のだという。
時速60キロ、ヒグマからの逃げ方
クマは元々、警戒心が強く、人を避ける傾向にあるとされているが、そうではないクマもたくさんいるようだ。クマは大きな物音を立てたり、人の声がするところへは近寄ってこないケースが多いとされるが、お腹を空かせたクマや子供連れのメスグマは、物音を立てたり、威嚇すると人間を襲ってくるケースがある。いったい、どうすればいいのかと頭を抱えてしまうところだが、現実は受け入れるしかないだろう。