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ロシア国民も見捨てつつある…ルーブル安が止まらなくなったプーチン政権、深刻なスタグフレーションの末路

 ロシアによるウクライナ侵攻から1年半が経とうとしている。欧米や日本は制裁強化に乗り出しているが、深刻な打撃にはいたっていないとの見方がもっぱらだ。2022年の実質GDP成長率はマイナス2.1%にとどまった。中国やインドへの輸出拡大と、同盟国の輸入拡大でロシア生活は改善。抜け穴が影響を緩和している。「継戦能力」は高い。経済アナリストの佐藤健太氏は「中国だった場合は」と見る。

今年初めからの下落率は10%を越えた

 「世界経済のリーダーの座は保つ」。ロシアのプーチン大統領は6月16日、サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムで演説し、経済政策の効果を誇示するとともに、ロシアから撤退した外国企業が復帰する道は閉ざさないと表明した。もちろん、ウクライナ侵略を続けるプーチン大統領の言葉を鵜呑みにすることはできない。ただ、侵攻開始から1年以上経過した事実を踏まえれば、欧米を中心とする経済制裁が当初描かれていた通りに効いていないことは間違いないだろう。

 たしかに2022年2月24日のウクライナ侵攻直後は、ロシア経済に激しい動揺が見られた。ロシアの通貨ルーブルは対ドルで急落し、外国為替市場で史上最安値をつけた。一時1ドル=150ルーブル前後まで下落したことを受けて、ロシア中央銀行は利下げに踏み切り、資本の流出規制なども導入。その結果、ルーブル相場はウクライナ侵攻前の水準に回復した。

 最近の動きを見れば、欧米企業の撤退などが相次ぎ、ロシアから資金が流出している可能性はある。今年初めからの下落率は10%を越え、2023年4月にルーブルは昨年4月以来の水準にまで値下がりしている。だが、ロシアが発表した2023年1~3月の国内総生産(GDP、速報値)は前年同期比1.9%減で、4期連続のマイナス成長であるものの、2022年10~12月のマイナス2.7%と比べれば減少幅が縮小している。これは、欧米の経済制裁が思ったよりも効いていないことの表れと見ることができるだろう。

ゲームチェンジャーにならなかった経済制裁

 米戦略国際問題研究所(CSIS)は報告書で、制裁がロシア経済に打撃を与えているものの、流れを変えるには十分ではないと指摘。「ロシアの不安定化という束の間の期待は、同国の金融機関と為替相場が回復したことで打ち砕かれた」と結論づけている。

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この記事の著者
佐藤健太

ライフプランのFP相談サービス『マネーセージ』(https://moneysage.jp)執行役員(CMO)。心理カウンセラー・デジタル×教育アナリスト。社会問題から政治・経済まで幅広いテーマでソーシャルリスニングも用いた分析を行い、各種コンサルティングも担う。様々なメディアでコラムニストとしても活躍している

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