安芸高田市長「もし無印良品が出店していたら、安芸高田市に多大な経済効果を見込めた」足を引っ張った市議は、一体何がしたかったのか
安芸高田市の石丸伸二市長は、2023年4月27日に、生活雑貨店の無印良品を展開する良品計画(東京)と、地域活性化に関する包括連携協定を結んだ。安芸高田市にある道の駅「三矢の里あきたかた」への出店や移住の促進で連携しようと考えたのだ。しかし、議会からの妨害で無印良品の出店は取りやめになった。
石丸市長は「無印良品が出店していたら、多大な経済効果を見込めた」というーー。連載「孤高のリーダー 元アナリスト市長の安芸高田戦記」全11回の5回目。
目次
安芸高田市への無印良品出店を妨害した市議会。一体何がしたかったのか
安芸高田市にある道の駅「三矢の里あきたかた」と、異なる色の稲で絵を描き、展望台を設けて観光客を呼び込む「田んぼアート事業」は、石丸市長の先々代の市長である浜田一義氏の負の遺産であると、石丸市長はこれまで批判を繰り返してきた。石丸氏は、本インタビューでも「公共施設はつくったあとが大変なのです。ランニングコストはかかるし、公共施設は30年40年経ったら、大規模な改修工事をしないといけません。そのときに、つくったときと同じぐらいのお金が必要になるのです。時限爆弾といってもいいような大問題」と指摘している。なお、これまでに1億円以上も注ぎ込んだ「田んぼアート事業」を石丸氏はすでに廃止している。
この無印良品の道の駅への出店について、石丸市長は「店を拠点に生産や加工など新たな事業が生まれる。市外からの誘客によって多大な経済効果も見込める」(広島市西区での締結式でのコメント)と期待を寄せていた。無印良品は、2023年秋に、出店すると発表していた。日用品を軸に販売し、イベントで特産品も売り、移住や住まいの相談窓口を設け市と連携して運営する方針を明らかにしていた。
しかし、そこへ待ったをかけたのが、石丸市長と対立する市議会だった。市議会最大会派の清志会に所属する山本数博氏と山本優氏が、無印良品出店のための改修費3300万円を2023年度一般会計補正予算案から削除を主張。出店で賃料・共益費などが増え計470万円の収支改善が見込まれていたが、市議会は調査設計費450万円の専決処分を不承認としてしまったのだ。
その削除・不承認へと至った理由として、山本数博氏は「これだけの予算を伴う事業なら臨時議会を開いて経緯や事業効果を説明するなど一定の行政手続きを行う必要がある。この中で工事費を認めることは市の一方的な執行を容認することになる」などと述べ、市長による「専決処分」という手続き論を問題視したのだった。
石丸市長は、提案の否決後、「(修正案は)言いがかり。どうすれば賛成するのか不明。足を引っ張りたいのが透ける」「議員の判断を市民は受け止めるしかない。事業は止まる」「(計画を)つぶしたのは議会。責任を取ってもらいたい」と述べた。
無印良品の出店計画は、ただテナントとして入れるという話ではなかった。安芸高田市の発展に必要だった
ーーこの予算案を潰せば、無印良品の出店計画を潰れることがわかっていました。わかっていて、手続き論を持ち出し、そして無印良品の出店を潰した議会の結果責任は、問われるべきと思います。テナントひとつ入るのに、ここまで大騒ぎする理由もわからない。
石丸市長
多くの人がわかっていないことだと思うので改めて説明をします。この計画は、単純に、無印良品のテナントとして入れるという話ではないのです。無印良品の商品を買うだけならそれこそコンビニでも手に入る時代です。そうではなくて、無印良品が道の駅へただ出店するだけでなく、そこで商品開発をしてもらって、安芸高田市の野菜であったり、地元のものを使った商品を企画して、無印良品の流通、販売網をつかって全国へ、世界へと届ける構想だったのです。