見せかけの環境対策…10年間で20兆円規模を見込む「GX国債」のガラパゴス化 グローバル投資のレーダーから消えかねない

財務省は14日、脱炭素社会への移行を目的とした新たな国債「GX経済移行債」の入札を実施した。2050年の温暖化ガスの排出実質ゼロに向けて、国の支出を確保するために発行する新しい国債となる。日経新聞の上級論説委員兼編集委員である小平龍四郎氏が、その仕組みを詳しく解説していく――。
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1.6兆円の発行額に及んだ「GX国債」とは
日本政府が「GX経済移行債」という新しいタイプの国債を発行し始めた。GXとは「グリーントランスフォメーション」のこと。2050年に脱炭素排出量の実質ゼロにする国際目標に向けて、産業構造を変えるための様々な施策をとるための財源を調達するための国債だ。発行規模は今後10年間で20兆円と巨額。欧米をはじめとする国際的な機関投資家の目は必ずしも好意的なものばかりではない。GX国債が市場の信任を失えば、日本のネットゼロ計画も遠のく。それはとりもなおさず、日本の国際的地位の急低下を意味する。