「仏様に一番近い人が尼僧に性的暴行」天台宗、摂理、カトリック、聖神中央教会、エホバ…宗教団体で性加害が続く理由!鈴木エイト「ジャニーズとの共通項」

華やかな芸能界の暗部で起こっていたジャニー喜多川氏や複数の映画監督による性加害事件。ようやく昨年以降、メディアの忖度などがなくなったことで被害実態が報じられ多くの人がその深刻さや重大性を知ることになった。各“業界”における性被害は2006年の#MeToo運動以降、可視化されるようにはなってきた。これは被害者の存在がもみ消されることなく、社会問題として取り上げられるようになったことが大きい。
そんな性加害問題は日本の宗教界、特に伝統宗教といわれる仏教界においても「対岸の火事」ではなくなってきている。天台宗の寺における悪質かつ長期間のマインドコントロールを伴った性加害事件が大激震を起こしているのだ。ジャーナリスト・作家の鈴木エイト氏が、伝統宗教における重大な性加害問題のハレーションについて記す。みんかぶプレミアム特集「日本・世界経済こう変わる」第5回。
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「仏様に一番近い人」が事態もみ消しを図る
比叡山延暦寺を総本山とする天台宗。過酷な修行で知られる千日回峰行を達成し信徒の尊敬を集める存在が「大阿闍梨」だ。その大阿闍梨の指示により、一番弟子の高僧の寺を訪ねた女性が14年間にわたり性被害に遭っていたという前代未聞の事案が明るみとなった。
直接の性加害を行ったのは四国にある信徒寺の住職。この高僧は暴力や脅迫、そして野良犬や野良猫への残虐な行為を見せつけるといった手法で被害女性を心理的に支配、尼僧として寺に住まわせ、性的暴行を繰り返してきたという。「仏様に一番近い人」と崇拝される大阿闍梨は、被害女性からの直接の訴えに対し、口止め料を支払おうとするなど事態のもみ消しを図った形跡があるという。
1月31日に都内で代理人弁護士とともに会見を開いた被害女性は、自身が受けてきた被害を赤裸々に語った。2019年には最初の強姦について高僧を刑事告訴するも、嫌疑不十分で不起訴となっていたことも明かした。被害女性は深刻なフラッシュバックに苛まれており、重度の複雑性PTSDと診断され、心理的なサポートが必要な状態に追い込まれている。
被害女性は涙を浮かべながら訴え
被害女性と代理人は1月22日に天台宗務庁の宗務総長に対し当該高僧と大阿闍梨の僧籍剥奪を求め懲戒審理申告書を提出。3月4日に滋賀県大津市の天台宗務庁で聞き取りを受けたあと、同市内で会見を開いた。