トランプ失速でも「米国は結局やっぱりトランプ」なワケ…次期大統領選、共和党・仁義なき闘い「群雄割拠」
トランプのカリスマ性に陰り…ディサンティスが支持率上回る
トランプ前大統領の共和党内でのカリスマ性に陰りが見え始めている。理由は2022年連邦中間選挙の上院接戦州でトランプ系の候補者がほぼ軒並み落選したからだ。これらの接戦州は大統領選挙での勝敗を左右する州でもある。バイデン大統領を擁する民主党候補者にトランプ系候補者が重要地域で敗北したことは共和党関係者に衝撃を与えた。そのため、共和党内の空気としてトランプ離れが加速し始めている。
その証拠に、ラスベガスで行われた共和党ユダヤ人連合会の年次総会(11月19日)で登壇した共和党有力候補者は、直接的に言及しなかったものの、トランプと明らかに距離を取るスピーチを行った。皆がトランプとの不必要な対立を煽(あお)ることはないものの、その存在に畏怖することは無くなっている。
目下、トランプ前大統領に対抗する対抗馬として急浮上している人物がフロリダ州のロン・デサンティス知事だ。反共和党メディアではミニ・トランプと呼ばれてはいるものの、その実態はトランプとは大きく異なる。デサンティス知事はトランプとは異なり、下院議員を経て州知事の任を務める職業政治家だ。また、接戦州の世論調査では、デサンティス知事はトランプ前大統領を上回っている。それは何故だろうか。
両者が同じような政策を掲げていたとしても、トランプ前大統領は共和党保守派と組んだだけの大統領であったのに対し、デサンティス知事は自分自身がバリバリの共和党保守派だ。共和党関係者らにとっては党内が一致団結して選挙戦に臨める納得感がある。実際、保守派の草の根団体やメガドナー(大口献金者)はトランプよりもデサンティスに期待を寄せており、トランプ政権を支えた人々の多くがデサンティス支持に流れ込んでいる。全米の保守派の大会の一つである西部保守派サミットなどでの会場人気投票では直近2年間常にデサンティスの支持率はトランプの支持率を上回る強さを見せてきた。