ロバート・エルドリッヂ「大阪は、衰退する」在阪30年、大阪人のだらしなさを憂う国際政治学者
かつての輝きを取り戻したい…。そんな風に思っているのは、実は大阪に住む日本人だけではない。「みんかぶプレミアム:特集『大阪沈没~名古屋に完敗、福岡に抜かれる』」の最終回は、英語教師として来日30年。以来、災害支援など、様々な立場で様々な社会提言を続けてきた在関西アメリカ人政治学者が、大阪の課題を伝える。青い目には、いまの大阪の姿はどう映っているのか。
目次
大阪人のフランクさと気骨に魅かれて32年間、関西を拠点に活動
1990年に、日本政府が外国人の若者を語学教師として全国に派遣する「JETプログラム」という制度を利用して来日。以来32年間、私は関西に住み続けています。学者としての専門は、日米関係を中心とした国際政治なので、「それなら東京ではないか、なぜ関西なのか」とよく聞かれます。
ですが、これは私の性分なのでしょう。何か物事を捉えるためには、その中心にいるよりは、中心から少し離れた地点にいたほうが、起こっている事象がより正確に、客観的に見えるのではないかという感覚があるのです。あともう一つの理由は人の “縁” です。
私がバージニアの大学で学んでいた時、大阪の堺市からやってきた留学生と学生寮の同室になり、親友になりました。彼の話を聞いていて日本という国、関西という地域に興味を持ち始めたんです。それで、どうせ日本に行くのなら、彼の実家に近いところがいいと希望を出したのです。
当初は1年か2年で帰国しようと思っていましたが、気がついたら30年以上が経っていました。アメリカに住んでいた期間より長くなってしまった。妻も日本人ですし、今では自分のことを完全に関西人だと思っています。