ロシア軍が北海道にやってくる…独裁者プーチンは辞められない、止まらない。国際法など関係ない
ウクライナ侵攻は対岸の火事ではない。自衛隊の元将官らは「日本の周りにも合理的な判断ができない独裁者が複数いる」と警鐘を鳴らす。中国による台湾侵攻も懸念される中、いま日本人が備えなければならないこととは――。全4回中の4回目。
※本稿は小川清史(元陸将)、伊藤俊幸(元海将)、小野田治(元空将)、桜林美佐著『陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析 日本の未来のために必要なこと』(ワニブックス)から抜粋・編集したものです。
第1回:伝統的に防御が下手なロシア「将官が死にまくるのは必然」…プーチンが企てた「難しすぎる」作戦
第2回:ウクライナ侵攻、プーチンが睨む2つの落とし所…「ロシア軍の大量の犠牲」より大切なもの
第3回:ロシア国防相「核の使用を検討…」プーチンの「全部ウクライナの自作自演だ!」作戦
目次
“インテリヤクザ” プーチンが壊れた
伊藤(海):今のようなことをロシアが続けていたら、ロシア人自体が疲弊するし、あるいはシロヴィキ(編集部注:プーチン政権内の治安・国防・情報機関の出身者)たちも反旗を翻すかもしれない。そうした事態になるのは目に見えているのに、なぜプーチン大統領がそれを読めなかったのか。
以前のプーチン大統領は非常にうまくやってきていて、妥協する時は平気で妥協していました。まさに手練手管の “インテリヤクザ” だったわけですよ。国際法の隙をついてギリギリのところまで悪いことをする、というのが得意技だったのに、今や現実としてロシアは孤立しているじゃないですか。はっきり言ってロシアを崩壊に導いている。そこが本当に理解できない。
特にワレリー・ゲラシモフ(参謀総長兼第一国防次官)のように非常に優秀な人たちがいるのに、なぜプーチン大統領を止めることができないのかわかりません。「ゲラシモフ・ドクトリン」によれば、戦争の手段の重点は軍事的手段から非軍事的手段に移行し、あからさまな武力行使は紛争を最終的に成功させるために行われると説いています。彼のような人たちがなぜプーチン大統領を止めなかったのか。