地獄が継続、鬼の岸田には「自己保身」しかない…無策で衆院補選全敗も「狙い通り」誰も支持しなくても秋の総裁選「再選最悪シナリオ」
衆院補選で全敗した自民党。なぜ岸田文雄首相は苦戦する人たちを助けなかった。その裏には自分ファーストな岸田首相の自己保身があった。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏が岸田再選シナリオを解説するーー。
目次
首相と与党幹事長という選挙の軸となるべき存在がギクシャク
衆議院補欠選挙で不戦敗も含めて岸田・自民党が全敗した。政治とカネの問題で支持率が低下している最中の選挙であり、そもそも自民党にとっては厳しい選挙であったと言えよう。しかし、そうであったとしても、岸田政権は補欠選挙に際して、あまりにも無策だったと感じざるを得ない。政治とカネの問題について有効な打開策を立案・周知するわけでもなく、補欠選挙に向けた支持率浮揚策を講じたようにも見えない。つまり、負けるべくしてそのまま負けたのだ。
岸田政権が補欠選挙に関して無策のまま敗北した原因として、茂木幹事長との間の不仲が指摘されることがある。つまり、首相と与党幹事長という選挙の軸となるべき存在がギクシャクし、選挙戦の友好なかじ取りができていないとされる。その上、自民党内は多くの派閥が解散に追い込まれており、組織立った支援も極めて困難な状況にある。その結果として、「補欠選挙三戦全敗という惨状に繋がった」ということは一面として正しい。
岸田首相の本質は「自己保身」…「岸田おろし」を封じるためにあえて自民党公認候補者たちを見捨てた可能性
しかし、筆者はそのような評価は岸田首相という人物の本質を見誤っていると考える。岸田首相は世襲議員特有の「自己保身」の化身であり、党運営全体のことなど全く考えたことがない人物だ。自分が生き残るためには無理筋と思われることも強引に実行し、敵対する安倍派・二階派を解散に追い込み、潜在的な敵である茂木派を分裂させた実績がある。そのため、今回の補欠選挙も、岸田首相の「自己保身」という観点からとらえ直すと、岸田政権の不可解な無策ぶりが理解できるようになる。