「審判の質、どうにかしてくれ」パリ五輪「柔道」で相次ぐ炎上騒動…「待て」の後数秒間締め続けることが柔道の精神に則っているのか
パリ五輪の日本での経済効果は2500億円にものぼるとされるなど注目度は高い。その一方各競技で日本勢が多くのメダルを獲得したが、そのメダル数に関しては結果に不満を抱いた人も少なくないだろう。一部では「パリ誤審ピック」と揶揄されるようなきわどい判定も多かったためだ。
なかでも、柔道においては疑惑の判定が相次いでいる。男子90kg級決勝や柔道混合団体・決勝など、細かいものも挙げればきりがない。
とりわけ、柔道男子60キロ級準々決勝、永山竜樹対フランシスコ・ガリコスの試合における判定には、試合から数日たってもいまだ批判の声が多い。ライターの小林英介氏がレポートするーー。
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鈴木監督が審判団へ抗議する事態に
7月26日に開会式が開かれ、連日の熱戦が続くパリオリンピックだが、とある試合での「大誤審」が物議を醸している。
「大誤審」が起きたのは開会式翌日に開かれた柔道男子60キロ級準々決勝だ。この試合では、日本の永山竜樹(SBC湘南美容クリニック)とスペインのフランシスコ・ガリコスが対戦した。
試合が進む中、寝技を得意とするガリコスは永山に覆いかぶさる形で締め技に持っていく。審判はすかさず「待て」を宣言したものの、ガリコスは締め技を続けた。数秒間締められ続け、永山は一瞬、気を失った。それが影響したのか、審判はガリコスの「勝ち」を宣告。永山は一本負けを喫することとなったのだ。
試合後、全日本男子の鈴木桂治監督は審判団へと抗議。マスコミ各社への取材に応じた鈴木監督は「悪魔の6秒間だった」と試合を振り返り、以下のように説明した。
「審判団は笑っていた。私たちは『落ちた』(失神した)か否かを聞きたいのではない。審判の『待て』がかかった後に数秒間締め続けることが柔道の精神に則っているのかと」
ところが、抗議は実らずに判定はそのまま。全柔連も文書で抗議する事態となった。
抗議に対し、ガリコス側も反論。スペイン紙「アス」によれば、「主審が『待て』と宣告したことは歓声などで気づかなかった。そのため締め続けた」とガリコスは反論している。
ガリコス側「理解できない」永山「何が起きたのかわからなかった」
また、ガリコスのキノ・ルイスコーチは、「(ガリコスは)不愉快なメッセージを受け取っている。なぜこのような状態になっているのか私は理解できない。私は死ぬまでガリコスを守る」などと困惑の表情だ。ルイスコーチはさらにガリコスに対して、ガリコスが日本でよく合宿を行っているとし、「行かないように」とも伝え、試合後に永山が握手をしなかったことを問題視。「彼は寝ていた。寝技では意識を失えば一本となり、一本を取られた選手は負けになるのだ」と主張した。