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ワルツ、ヤバイヤツ「5つの重大問題」…米大統領選、民主党副大統領がポンコツすぎてなぜか大敵トランプの復活をアシストしている理由

 日本の株価はアメリカに連動しているという。そのアメリカの経済を動かすことになるのが11月の大統領選だ。ジョー・バイデン大統領が次の大統領選への出馬を見合わせ、民主党候補となった現副大統領のカマラ・ハリス氏。そのハリスが選んだ次の副大統領候補がミネソタ州知事のティム・ワルツ氏だ。このワルツ氏、一体何者なのだろう。国際政治アナリストで早稲田大学招聘研究員の渡瀬裕哉氏は「民主党の勝利は遠のいた」と解説する。2016年の大統領選で各メディアや識者が民主党ヒラリー・クリントン候補(当時)の優勢を伝える中、ずばりトランプ氏の当選をあてた渡瀬氏が解説する。勝つのはどっちなのか。短期集中連載第1回ーー。

目次

ワルツを副大統領候補に選んだ民主党の「勝利が遠のいた」

 アメリカ大統領選挙で民主党陣営が選んだ副大統領候補者は意外な人物であった。もちろん、ティム・ワルツ・ミネソタ州知事は最後まで残った選択肢の一人であり、その名前が発表されたこと自体には驚きはない。筆者が驚いた理由は、民主党が自ら決定的な勝機をふいにする選択肢を採用したことだった。

 民主党の副大統領候補者の最終選考にはジョシュ・シャピロ・ペンシルベニア州知事とティム・ワルツ・ミネソタ州知事が残っていた。仮に前者のシャピロ知事を選んだ場合、大統領選挙結果はハリスの勝利に大きく傾いたことだろう。

 シャピロは最大激戦州であるペンシルベニア州で圧倒的な人気を誇るスターだ。シャピロの政治姿勢は左派だけでなく中道的な有権者を惹きつけることができたはずだ。また、シャピロ自身がユダヤ人であることから、ユダヤ票が決定的な影響力を持つペンシルベニア州だけでなく、同じ傾向を持つネバダ州での勝敗を決める決定打になった可能性もある。

 一方、ミネソタ州は1972年大統領選挙以来、民主党が大統領選挙で無敗を誇る州である。同州は1980年全米的な人気があったレーガン大統領でさえ勝利を取りこぼした州である。つまり、純選挙的な理由から民主党がミネソタ州知事を副大統領候補者に選ぶ必然性は無かった。しかし、そのワルツ・ミネソタ州知事を選ばざるを得なかったことが、実はハリス陣営及び民主党の苦しい現状を暗に表しているのだ。以下、ワルツを副大統領候補者に選んだことが「何故、選挙戦略上の致命的なミスに繋がる可能性があるのか」について理由を述べていこう。

ワルツは共和党にとっては非常に叩きやすい人物

(1)ワルツの「左派過ぎる」政策実績

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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