この記事はみんかぶプレミアム会員限定です

台風10号猛襲 巨大台風ごとに交通麻痺を繰り返す日本「もしリニアが開通していたら」…“リニアは災害に弱い”はデマ!徹底妨害していた川勝氏の理屈

 台風10号が日本を襲っている。先日の台風7号はお盆シーズンと重なっていたため、JR東海は2日前に8月16日における東海道新幹線の運休を発表した。同時に南海トラフ地震臨時情報を起因とした東海道新幹線の徐行運転も実施しており、日本の大動脈は8月、天候や地震に大きな影響を受けていた。果たして災害が多い日本でリニア中央新幹線を通す意味はあるのだろうか。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏は「リニアは構造的に地震に強いほか、全体の8割以上がトンネルの中であることなどから雨や雪の影響も受けにくい」と指摘する。しかし当初2027年に開業予定だった品川ー名古屋間はリニア建設を頑なに拒んでいた前静岡県の川勝平太知事によって開業延期となった。静岡県で着工してから10年ほどで開業の見込みだという。小倉氏が問題点を解説するーー。

目次

「南海トラフ地震臨時情報」で一番忙しい時期に減速運転

  気象庁が発表した「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」により、夏休みの一番忙しい時期であるお盆期間中に東海道新幹線が減速運転をする事態となった。この臨時情報は、南海トラフ地震の発生の可能性が高まっていると判断された場合に出されるもので、今回は8月8日に宮崎県の日向灘沖で地震が発生したことを受けて発表された。この臨時情報によって、被害が想定される地域を通る交通の要衝が、長期間にわたって止まるリスクが明らかになったのである。

 気象庁は、この情報に基づき、南海トラフ地震の発生リスクが高まっていると判断し、1週間の警戒を呼びかけた。この結果、JR東海、JR西日本、JR四国は、一部の特急列車の運休を決定した。また、JR東海は東海道新幹線の速度を制限し、通常よりも遅い速度での運行を余儀なくされた。

東海道新幹線のような重要な交通手段が長期間にわたって運行停止

 特に、8月9日はお盆期間の最繁忙期にあたり、東海道新幹線では過去最多となる1日483本の列車が運行される予定であった。しかし、この日に限り、静岡県内の三島駅から愛知県内の三河安城駅間で新幹線の最高速度を通常の285キロから230キロに落とし、運転することとなった。そのため、日中の時間帯には上下線ともに10分前後の遅れが発生した列車が目立ったという。

  この事態は、南海トラフ地震が現実的な脅威であり、その影響が日本の主要な交通網にどれだけ大きなリスクをもたらすかを改めて浮き彫りにしたものである。もし地震が発生した場合、東海道新幹線のような重要な交通手段が長期間にわたって運行停止となる可能性があるため、さらなる対策や準備が求められる状況である。

一部識者は、リニアが地中奥深くを走るために「地震に弱い」誤解

 ここまで南海トラフ地震臨時情報の影響を述べたが、やはり、多くの人はリニア中央新幹線が必要だと感じたのではないだろうか。リニアは、沿岸を通る東海道新幹線とは違い、山梨県、長野県、一部の静岡県など、山間部を走ることになる。リニアが開業すれば、仮に南海トラフ地震が起きて、静岡県で東海道新幹線が止まるような事態になっても、東京、名古屋、大阪を遠回りすることもなく、移動することが可能だ。

  一方で、SNSや一部識者の中には、リニアが地中奥深くを走るために「地震に弱い」とする誤解もいまだに根強くあるようだ。これは原発の揺れの議論にも似ているので、少し新幹線から話が離れるが少しだけお付き合いいただこう。今年、1月1日に発災した能登半島地震において、能登にある志賀原発の安全性についての議論が起きたときの話だ。

  そこで経済産業省の元官僚で、反原発の立場にある古賀茂明氏が「原発の耐震性が、一般のハウスメーカーの耐震性と比較して低い基準になっている」と主張し、志賀原発が危ないと批判をしたのだ。志賀原発の耐震性は、設計上は600ガルに耐えられるように建築されており、今回の地震では399ガルを観測した。新規制基準では志賀原発は1000ガルに耐えられる設計にしており、現在、国が審査中だ。

同じ単位だからといって比較すべきものではない

「ガル」とは、地震の強さを測る単位の一つだ。地震の加速度を表すために使われる。具体的には、1ガルは1秒間に1cmの速さで地面が動くことを意味する。そして、ハウスメーカーの中には、三井ホームのように耐震実験で5000ガル以上の加速度に耐えた実績があるとアピールしているところもある。

 しかし、これは同じ単位だからといって比較すべきものではない。古賀氏はそれを分かっていながら主張するのだからタチが悪いと思うが、分かりやすく伝えるために、まず「地面」の話をしよう。

 地面は、簡単に言うと固い岩盤の上に表層地盤が乗っている。私たちが生活しているのは揺れやすく動きやすい表層地盤だ。そして、日本にある原発は全て「岩盤」に直接建設されている。岩盤に建てることで地震が来ても揺れをかなり小さくすることができる。立地が決まると地下の強固な岩盤まで掘り進めていく。

「ゼロリスク」を実現することの現実性

  岩盤と表層地盤の「ガル」を比較することに意味は全くない。例えば、熊本地震(2016年)では、表層地盤(地盤地表)では「1580ガル」が観測されたが、地下にあった岩盤では「237ガル」だった。表層地盤の方が揺れるのだから、それに応じた耐震性が求められるというだけの話である。同じ土俵に並べる意味がないことが分かっていただけただろうか。

今すぐ無料トライアルで続きを読もう
著名な投資家・経営者の独占インタビュー・寄稿が多数
マネーだけでなく介護・教育・不動産など厳選記事が全て読み放題

    この記事はいかがでしたか?
    感想を一言!

このカテゴリーの最新記事

その他金融商品・関連サイト

ご注意

【ご注意】『みんかぶ』における「買い」「売り」の情報はあくまでも投稿者の個人的見解によるものであり、情報の真偽、株式の評価に関する正確性・信頼性等については一切保証されておりません。 また、東京証券取引所、名古屋証券取引所、China Investment Information Services、NASDAQ OMX、CME Group Inc.、東京商品取引所、堂島取引所、 S&P Global、S&P Dow Jones Indices、Hang Seng Indexes、bitFlyer 、NTTデータエービック、ICE Data Services等から情報の提供を受けています。 日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。 『みんかぶ』に掲載されている情報は、投資判断の参考として投資一般に関する情報提供を目的とするものであり、投資の勧誘を目的とするものではありません。 これらの情報には将来的な業績や出来事に関する予想が含まれていることがありますが、それらの記述はあくまで予想であり、その内容の正確性、信頼性等を保証するものではありません。 これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、投稿者及び情報提供者は一切の責任を負いません。 投資に関するすべての決定は、利用者ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。 個別の投稿が金融商品取引法等に違反しているとご判断される場合には「証券取引等監視委員会への情報提供」から、同委員会へ情報の提供を行ってください。 また、『みんかぶ』において公開されている情報につきましては、営業に利用することはもちろん、第三者へ提供する目的で情報を転用、複製、販売、加工、再利用及び再配信することを固く禁じます。

みんなの売買予想、予想株価がわかる資産形成のための情報メディアです。株価・チャート・ニュース・株主優待・IPO情報等の企業情報に加えSNS機能も提供しています。『証券アナリストの予想』『株価診断』『個人投資家の売買予想』これらを総合的に算出した目標株価を掲載。SNS機能では『ブログ』や『掲示板』で個人投資家同士の意見交換や情報収集をしてみるのもオススメです!

関連リンク
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.