もう、うんざりだ…兵庫・斎藤知事のカニ、カキ、40万円革ジャン「くれくれ攻勢」むちゃくちゃな職員アンケ結果にも「県政をより良くするために必要な指示」
兵庫県の斎藤元彦知事によるパワーハラスメント疑惑をめぐり、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は8月30日に斎藤知事らに対する証人喚問を予定する。パワハラ疑惑などを文書で告発した幹部職員が命を絶ち、約4割の県職員が知事のパワハラを見聞きしたと回答する兵庫県庁の“闇”はいよいよ解明されるのか。経済アナリストの佐藤健太氏は「斎藤知事はコミュニケーション不足に原因があったかのように言っているが、職員アンケートの結果は衝撃的だ。もはや辞職は不可避だろう」と見る。
ちなみにアンケートで知事のはおねだりについても多様な回答があったとされる。「カキ加工所で贈答品を公用車に積み込むのを目撃」「40万円相当の革ジャンを試着して 『これはいい。もらえないか』」「カニをお土産に用意されお断りしたら、断った随行者の分も含めて知事が独り占めしたと聞いた」……。あまりにの多さに関係者からは「もう、うんざりだ」とため息が漏れる。佐藤健太氏が解説するーー。
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知事による日常的な“叱責”や“舌打ち”などについて証言
「知事が公用車で席を蹴った」「最高幹部に文具を投げつけた」―。百条委員会は8月23日、6人の職人を対象に非公開で証人尋問を実施した。終了後に記者会見した奥谷謙一委員長らによれば、パワハラを受けたと明確に証言した職員はいなかったものの、知事による日常的な“叱責”や“舌打ち”などについて証言が得られたという。
百条委が県職員を対象に実施したアンケートの結果は、兵庫県庁におけるパワハラ疑惑が根深いことを感じさせるには十分だ。約4600人の回答者のうち、知事によるパワハラを「目撃などにより実際に知っている」と回答したのは59人、「実際に知っている人から聞いた」は466人、「人づてに聞いた」は1225人に上る。
その内容は衝撃的と言える。「20メートル歩かされ、知事が怒った」「阪神タイガースが優勝した際に、突然、県立の施設から虎の置物を持ってくるよう指示があったと記憶している。知事の思いつきで振り回され、現場の人間は困惑していた」「知らないと言って怒鳴る、説明に対して斜めで聞くというような態度や舌打ちする、ということは本庁で知事レクに入った人たちから何度か話を聞いた」「知事レクの際、持っていたペンを机上に放り投げ、場の空気が凍り付きました」。
辞職する考えはないことを重ねて強調する斎藤知事
知事が些細なことで激高したり、恫喝したりしていたとの証言は多数寄せられている。
また、知事出席のイベントを実施する時の注意事項としては、「新聞、テレビなどのマスコミが居ないと激怒する」「鏡(姿見)付きの個室の控室がないと激怒する」などが職員間で周知徹底されていたという。奥谷委員長は「厳しく叱責を受けたという方が結構いた。事実を評価し、パワハラに当たるのか判断したい」と言葉を選んでいるが、数々の証言が事実であれば「パワハラ疑惑」という言葉を通り越した大きな問題と言えるだろう。
ただ、斎藤知事はこれまで通り辞職する考えはないことを重ねて強調する。アンケート結果に対しても「県政をより良くするために必要な指示や指導をしてきた。これだけ多くの職員が回答している事実に接し、大変残念な思いだ」と説明。その上で「職員の受け取りとの間にズレが生じていたことにより、不快な思いや負担をかけたことは重く受け止めなければならない」と述べるにとどめているのだ。
何よりも驚いたのは、県西播磨県民局長だった告発職員が3月に知事のパワハラを含む複数の疑惑をまとめた告発文書を報道機関などに送付した後の対応に関する証言だ。元局長は県の公益通報窓口にも通報しているが、県は公益通報者保護法の対象外と判断。さらに内部調査で「知事を誹謗中傷した」と認定し、停職3カ月の懲戒処分にされた。元局長は7月に亡くなっており、自殺とみられている。
「懲戒処分すれば、風向きが変わるのでは」と知事が言っていると聞いた
百条委によれば、亡くなった告発職員が県の公益通報窓口に通報した後、「総務部長を通じ、知事の方から(公益通報の)調査結果を待たずに処分できないのかと言われた」などと証言する職員が存在している。人事当局は調査結果が出る前の処分には否定的な意見だったが、「『懲戒処分すれば、風向きが変わるのでは』と知事が言っていると聞いた」との証言もあった。この点を問われた斎藤知事は8月27日の記者会見で「百条委の中で懲戒処分にかかる質問に答える方が良い」と答えている。仮に内部調査や処分が優先されていたのであれば、公益通報者保護法の趣旨を逸脱しているのではないか。