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小泉進次郎総理はプーチン、習近平、トランプと本当に渡り合えるのか…日本政治の本当の争点は「世襲制度との闘い」である

 自民党総裁選が幕を明け、小泉進次郎議員に注目が集まっている。しかし、国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「小泉進次郎が総理になっても増税路線が継続するだけ」と警鐘をならす。日本の国民負担率は45%。一体、小泉氏は何を企てていくのかーー。

目次

プーチン、習近平、イスラム指導者らと渡り合えるのか

 小泉進次郎氏の総裁選支持率が激減している。他候補者との論争の中で、度重なる失言、討論能力不足が露呈し、政治家としての資質そのものに疑問を持たれたことが原因だ。

 小泉氏は総裁選立候補時の会見で労働法制緩和を訴えて国民から激しい批判に晒された。その後、彼は正社員の雇用促進と言い換える詭弁を弄し、自らの発言を誤魔化そうとしているが、その信念の無さ、言葉の軽さは明らかだ。

 実際のところ、労働法制緩和については国民の間でも意見が割れている話題である。したがって、異世界転生してチート生活を送ってきたかのような、親のコネ以外では働いたことがない世襲ボンボンが同発言を行ったことへの反発が強かったのだろう。

 その上、小泉氏は党青年・女性両局が主催した討論会で「「奨学金だけではなく私は教育のあり方を変えたいと言ったのは、大学に行くのがすべてじゃないです」「教育の多様化、高専の強化、こういうことも抜本改革でやっていきたいと思います」と発言した。しかし、自分自身は、関東学院大学に小中高と内部進学した後、コロンビア大学大学院に「例外中の例外」である特別入学して拍付け化粧した経歴だ。

 極めて付けは、外交問題について、カナダのトルドー首相や北朝鮮の金正恩と同世代であることに触れ、胸襟を開いた話ができることをアピールした。親父が金正日と会談したので、その息子で年齢が近い者同士なら話ができる、とは何事か。まさに、勘違いした貴族階級が他国の同世代の貴族と交流できる、というお花畑の思考そのものを披露したと言えよう。このような世界観の愚物にプーチン、習近平、イスラム指導者らと渡り合うことなど不可能である。まさに、令和版のルーピーと言っても過言ではない。

 今、日本が優先的に取り組むべきことは、「世襲制限」による政治家の流動化だ。世間ズレしているだけでなく、暗愚な二代目・三代目・四代目ボンボンが国会議員になることを防止することが必要だ。

世襲候補者の「落選保険付きで絶対落ちないチート選挙」

 1990年代の政治改革で導入された小選挙区比例代表制は世襲議員に極めて有利な選挙制度である。同一選挙区で複数の与党候補者が選出される中選挙区制と異なり、小選挙区制は親父の意向で与党公認さえ取ってしまえば、世襲は競争に晒さらずほぼ負けることはない。(父・小泉純一郎は中選挙区時代にライバルに負けて落選したことがある。)与党に大逆風が吹いた場合でも、世襲が持つ厚い後援会地盤は比例復活を可能とする。

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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