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増税暴落王イシバ「おきて破り解散」姑息すぎた本当の理由…能登半島災害ほったらかしで自分都合最優先「日本経済どん底へ」

 総裁選が終わり、新総裁に選ばれた石破茂氏は10月9日に衆議院を解散し、衆議院選挙を「10月15日公示、27日投開票」という日程で実施する意向を固めた。もともと解散権の濫用について自民党党内から批判的立場だったのにも関わらず、態度を豹変させたことに与野党・国民からは失望の声が大きい。だからこそ、結果が伴わなければ責任問題に発展しかねない。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏が解説するーー。

目次

総裁選挙翌日の日経平均下落率ワースト1位

 9月23日石破茂総裁誕生後、日経平均先物は暴落、為替も大幅に円高に振れることになった。総裁選の数日前からマーケットは高市トレードに右往左往される状態となっており、その当日も利上げに慎重な姿勢を見せる高市氏の党員票1位を受けて株高機運は最高潮となっていた。

 しかし、自民党総裁選の決選投票で選ばれたのは、リフレ政策に懐疑的で金融所得税強化が持論の石破茂氏であった。そのため、青ざめたマーケットが一気に売りを浴びせたことで、石破氏は2000年以降で自民党総裁選挙翌日の日経平均下落率ワースト1位という記録的数字を叩き出す結果となった。まさに、ご祝儀相場どころか、香典相場が発生し、日本の株式市場はお通夜モードに突入した。

 総裁選挙期間中の石破氏の経済政策に関する発言は最悪なものだった。直近で税収が5年で約10兆円伸びており、今現在はほぼ不要となった1兆円の防衛増税を肯定するだけでなく、法人税増税や金融所得課税などの更なる国民負担の追加にも積極的な姿勢を示していた。

総裁選挙期間中には上述の法人税率引き上げなどにも言及

 石破氏は「物価高を超える賃金上昇の実現には労働分配率を上げて賃金を上げることが一番即効性がある」と述べたが、総裁選挙期間中には上述の法人税率引き上げなどにも言及してきた経緯がある。法人税の引き上げは労働者賃金の低下に直結することは、経済学上の常識だ。そのような初歩的なことすら理解せず、矛盾した発言を繰り返す石破氏は完全に経済音痴だと言ってよいだろう。

 マクロ経済政策に関するブレーンにロクな人物がいないことは誰が見ても明らかであり、支持基盤の農業・漁業などの地方既得権に対して「地方創生」名目でバラマキを推進することしか政策メッセージとして伝わってこない状況だ。

増税で回収する「負のスパイラル」に陥る典型的な布陣

 実際、新内閣の顔ぶれを見ても、防衛省関係者が官邸・閣僚の主要部を占めるとともに、その他の重要ポストには財務省と関係が深い大物議員を配置する体制となっている。つまり、経済成長に関心が薄い防衛関係の人々が既得権者向けに地方バラマキを実行しつつ、その財政支出の資金を財務省関係者が後から増税で回収する「負のスパイラル」に陥る典型的な布陣である。石破内閣の顔ぶれは、マクロ経済政策や成長戦略を理解していないどころか、経済政策自体に関心すらないように見える地獄の布陣である。

 石破氏は過去に消費税増税に関しても前向きな姿勢を示してきた。総裁選挙では消費税増税は「党税調で議論する話」とお茶を濁しながらも、他候補者のように消費増税自体を否定する主張をしていない。これは極めて大きな問題だ。なぜなら、野党第一党の党首が増税派の野田佳彦代表だからだ。

 ようやく日本がデフレ状態から脱却しようとしている中、最悪の与野党のトップの組み合わせである。過去の三党合意のごとく消費税の大増税が再び繰り返される可能性があり、それと同時に日本銀行の利上げがこのまま進められたなら、日本経済は一気に不況に逆戻りすることになるだろう。経済に鈍感な与党・野党のトップの愚策で国民生活が粉々に破壊される日が迫っている。

今回の早期解散は絶対にやってはならない掟破り

 さらに、石破氏は内閣総理大臣に正式就任する前に10月27日投開票の解散総選挙を宣言した。この時点で法の支配すらまるで理解していない防衛関係者の危うさに満ち溢れているが、それ以上に今回の早期解散は絶対にやってはならない掟破りのものだと言えよう。

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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