「国賊総選挙」自民か立民か、どちらでも増税の最悪な究極選択を前に国民絶望!理由不明の解散に石破も野田もスッカスカ

10月27日の衆院選が目前に迫っている。自民、公明両党が勝敗ラインとする過半数の議席確保は現時点では不透明で、与野党の攻防が激しいことが伝えられているが、どんな情勢になろうとも「日本に明るい未来は見えない」と国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は嘆息を漏らす。
そもそもこの解散総選挙はなんのためにするのか。石破茂首相は就任前、解散権の濫用を明確に否定していにも関わらず国民を裏切るように就任直後に解散にうってでた。就任直後は内閣支持率は高くなる傾向にあり「下がり始める前に」というのが本音だろう。もともと「党内人気は低くても、国民人気は高い」とされてきた石破首相だからこそ、勝てる算段はあったのだろう。
しかし、蓋を開けて見れば時事通信の世論調査(10月)の支持率は28%。いきなり危険水域といわれる2割台からのスタートだ。国民人気もなかった。
では野田佳彦元首相率いる立憲民主党はどうなのか。自民党の大逆風を横目に大躍進を遂げそうな様相だが、例え自公過半数割れに追い込んだとしても政権交代までは難しいだろう。そもそも野田元首相は「金融所得課税25%までの引き上げ」「目標物価0%」など日本経済を停滞させるような政策に言及しており、立憲民主党が政権をとったとしてもそれが日本のためなのかどうかは甚だ疑問だ。
以下より、渡瀬氏が解説するーー。
目次
石破氏は「総理としての風格」はない
石破内閣による「理由不明」の解散総選挙がいよいよ最終盤である。当初は石破内閣の支持率が下がる前に解散する、という与党の自己都合解散の意味合いがあったが、自公連立政権が過半数割れを起こしかねない現状に鑑み、その理由すらも失われた状態となっている。
石破総理が応援演説に入ったとしても、総理としてはほぼ何もやっていないので、「総理が演説に来る!」という熱さもなく、もっと言えば石破総理には「総理としての風格」すらない。客寄せパンダとしての小泉進次郎選対委員長も勉強不足が露呈し、そのカリスマ性はすっかり失われている。有権者はパンダを見に行くこともあるかもしれないが、誰もその発言の中身については期待していない。これほど無意味で空虚な選挙戦はないだろう。
一方、野党第一党の民主党は古臭いメディアが設定した「政治とカネ」という争点で選挙戦を行っている。
一方で立憲民主党の未来を感じさせない主張にはウンザリ
国民の実生活から切り離された争点であるが、団塊世代以上の正義感ごっこに酔いしれた有権者は満足するかもしれない。しかし、40代未満の有権者は立憲民主党の未来を感じさせない主張にはウンザリしている。自民党が自滅して過半数割れを起こしそうな状況だからこそ、野党第一党の立憲民主党に票が集まる傾向が出ているが、そうでなければ同党の有様は投票対象として選べるようなものではない。まして、同じ左派に属する泡沫の社民党に至っては「どっこい、どっこい」という不可解なキャッチフレーズに絶句する。税金で意味不明な奇声を上げる勢力には現役世代ではなくともドン引きだ。
与党及び野党第一党による不毛な争いを続ける中、石破総理及び森山幹事長から今回の総選挙で唯一まともな争点が示された。それは「防衛増税時期を年内に決定する」ということだ。そして、実は今回の石破総理の解散総選挙の隠れた意図は、与党からこの「防衛増税反対派」を一掃することにある。
このタイミングで岸田前総理の影響力が再拡大か
現在、石破総理は総裁選挙時に示した増税政策についてその大半は引っ込めている。その中で唯一残った増税計画が「防衛増税」だ。石破総理も森山幹事長も総選挙後の与党税制調査会で「防衛増税時期」を正式に決定すると明言した。
昨年度、防衛増税は萩生田光一政調会長(当時)が提示した増税不要論によって防衛増税の時期を明記することは先送りされた。増税推進派の岸田文雄前総理や宮澤洋一与党税調会長(岸田派)は、萩生田氏ら増税反対勢力によって煮え湯を飲まされた結果となった。
しかし、今回の総選挙では、その萩生田氏は非公認となり、その当落すらも分からない状況となっている。また、旧安倍派の多くの議員が落選見込みとなる中、萩生田氏が党内で再選を果たしたとしても影響力を直ぐに取り戻すことは難しい。まして、安倍派壊滅後、岸田前総理が影響力を再拡大する可能性は極めて高い。そのため、個別に防衛増税に反対する自民党国会議員も残ってはいるものの、党内力学の観点からは同増税を阻止することは困難だろう。したがって、本年の11月・12月に実施される与党税制調査会で約1兆円の防衛増税の時期を決まることは既定路線となっている。
解散総選挙は中身が無く「スカスカ」だ
では、何故石破総理と森山幹事長が揃って「選挙期間中にも関わらず、増税を推し進める禁忌」を冒して既成事実づくりに励んでいるのだろうか。その理由は安倍派の凋落を決定的に印象付けるものだからだ。
防衛増税自体は、自民党総裁選挙で茂木前幹事長が明言した通り、経済成長による税収増や外為特会などの取り崩しによって全く不要なものだ。むしろ、中国の法人税が25%しかない中で、日本側が中国よりも高い法人税を更に防衛増税として引き上げることは、その目的から考えても狂気の沙汰である。防衛省関係者で固められた石破内閣の利権づくり、岸田前総理による権力誇示、財務省による増税工作以外に、今回の防衛増税を正当化する理由はない。その結果として生じる経済成長に対するマイナス要素は何も考えていない。
石破内閣は「空虚で無意味なことをする」という傾向がある。
立憲・野田代表も相変わらずスカスカ
今回の解散総選挙自体、選挙後の防衛増税時期の決定、そして同盟国である米国や友好国である東南アジア諸国を驚かせたアジア版NATO構想のようなスカスカなことばかりだ。驚くほどに中身がない政権である。
一方、野党第一党の立憲民主党の状況も石破内閣に負けず劣らずのスカスカぶりだ。第一に、野田佳彦代表は生粋の嘘つきである。野田氏は2009年の政権交代時に消費税増税に反対し、政府の税金に集るシロアリを倒す、という有名な演説を行った人物だ。その演説は後に彼が実行した三党合意によって全て反故にされてしまった。政治家としてあまりにも言葉が軽い。したがって、野田氏がどのような政策を述べたところで、国民の心に響くことはない。ただひたすら、マスコミが煽る「政治とカネ」の話を繰り返すだけだ。
今回の総裁選挙で唯一注目を浴びた政策は、野田氏が公表した「物価目標0%超」というものだ。これはメディアや経済人を驚かせたキャッチーなフレーズではあったものの、実際にはほとんど何も言っていないに等しい。立憲民主党議員が同政策の反響が大きすぎたため、「これは実質賃金増加を目指すものだ」と言い訳していたが、そのメッセージ性だけは強烈なものがあり、まさに野田氏のスカスカぶりの真骨頂とも言えるような政策だ。
日本の政治・経済の先行きに明るい見込みは少ない
その他、野田氏はTBSの番組の中で、金融所得課税25%までの引き上げにまで言及している。金融所得課税を強化することは、投資家の利益を圧迫することになり、株価に対してボディーブローのような影響を与えることになる。この金融所得課税強化は、石破総理も総裁選挙期間中に言及しており、まるで両者が示し合わせた感じすら抱かせる。日本経済の先行きを考えると極めて心配だ。
このように与党・野党のトップが自ら発言している内容が日本経済にどのような影響を与えるかすら認識できない悲惨な状況となっている。
その中で聞こえてくる最悪のシナリオは、与党過半数割れによる自公立による大連立だ。増税志向の与野党のトップが揃っているうちに、不人気な増税政策を一気に進めてしまおうという大政翼賛会的な発想である。仮に大連立ということになれば、その後に国民にもたらされる状況は「無責任な大増税」ということになってくるだろう。
また、国民民主党は躍進見込み、日本維新の会は微減または横ばい程度の選挙結果と見込まれるが、その程度の議席では自公の増税路線を止めることは難しい。日本の政治・経済の先行きに明るい見込みは少ない。
日本国民は正解が用意されていない選挙の中で、一体どのような選択をするのだろうか。衆議院議員総選挙後、来年の参議院議員選挙に向けて、日本人に本当の危機意識が高まることに期待したい。