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「足を引っ張りやがって」斎藤知事、“大暴露”のPR会社社長でピンチに…支持者も激怒「兵庫県民を舐めてる」自己顕示欲が高い人の特徴

 兵庫県知事選では下馬評を覆す逆転勝利をおさめた斎藤元彦知事。しかし、またもピンチに陥っている。PR会社がmerchuの代表が選挙戦略を大暴露し物議を醸している。公選法違反を指摘する声もあがっており、窮地に立たされている。斎藤知事の支持者からはXなどで「斎藤さんの足を引っ張りやがって何を考えてんねや」「兵庫県民を舐めてるでしょ」という辛辣な批判があがっている。一方で激しいバッシングに代表の身を心配する声も出ている。一体なぜこんなことが起きたのか。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が解説するーー。

目次

永田町のルールでは「沈黙を守る」のが常識

 兵庫県西宮市に本社を構えるPR会社「株式会社merchu(メルチュ)」の折田楓代表取締役が、投開票後の11月20日に「note」で公開したコラムが大きな波紋を呼んでいる。「兵庫県知事選挙における戦略的広報:『#さいとう元知事がんばれ』を『#さいとう元彦知事がんばれ』に」と題されたその記事には、選挙中の広報戦略について詳細な内容が記されていた。

 折田氏の行動には、『自己顕示欲を抑えられなかったというわけか』(FLASH、11月23日)という報道もあるように。自己顕示欲の高さが垣間見えると言う人も多いようだ。「自分の仕事の成果を広く知ってほしい」という欲求が、今回のコラム公開に繋がったのかもしれない。

 それにしても、公職選挙法という難解で解釈の余地が多い法律がある以上、永田町のルールでは「沈黙を守る」のが常識とされている。それをあえて破り、目立つ行動に出たことが、「民勇み足」として批判を受ける結果になった。自己顕示欲が強く、成果を見せたいという気持ちがあったのかもしれないが、そのタイミングや法的リスクを考慮する必要があった。

 そもそも、国民にとって難解すぎる法律が世の中に存在していること自体が、政治参加を阻む大きな要因となっている点はきちんと踏まえておくべきだ。選挙は本来、国民誰もが公平に立候補し、参加できるべきものであり、公職選挙法もその理念に沿った形で改正されるべきだ。しかし、法律を変える権限を持つ国会議員たちにとって、ルールを複雑にしておくことは、自らの地位や既得権益を守る手段となっている。特に世襲議員が多い現状では、こうした状況が改善される見込みは薄い。

今回の行動は「余計な一手」として批判を招いた

 それにしても、折田氏の今回の行動は「余計な一手」として批判を招いてしまった。大炎上したという意味では、PR失格だ。おそらく、この一件が原因で兵庫県との関係を断たれる結果になるかもしれない。しかし、彼女が提案した『#さいとう元知事がんばれ』を『#さいとう元彦知事がんばれ』に変更するというアイデア自体は、センスと戦略性を感じさせるものであった。自己顕示欲の強さが、このようなクリエイティブな提案を生む源泉であった可能性もある。今回の失敗を糧に、兵庫県とは別の場所でその才能を発揮してほしいと願う。

 自己顕示欲とは、他者に自分を良く見せたい、自分の価値を認めてほしいという強い欲求を指す。本件を、自己顕示欲についての世界的に著名な論文である『自己に関するポジティブな幻想:短期的利益と長期的コスト』(カリフォルニア大学、2001年)をもとに、紐解いていこう。

 まず、自己顕示欲のメリットについて考える。論文で述べられている研究結果によると、自己顕示欲が高い人はポジティブな幻想を抱く傾向があり、これが心理的な短期的利益をもたらす。

自己顕示欲が高い人の特徴

 この論文では、360名の参加者が「月面着陸の生存戦略」をテーマにした「グループでの意思決定」に参加した実験が紹介されている。参加者は「グループでの意思決定」終了後、自分と他のメンバーのパフォーマンスを評価し、自己評価が他者評価と比べてどの程度過大または過小であるかを分析したのだという。

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この記事の著者
小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact

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